東日本大震災アーカイブ

増える下水汚泥 処理場内は満杯 減容化へ施設建設進む

本格稼動目前の焼却施設=県県中浄化センター

 東京電力福島第一原発事故の影響で下水汚泥を処分できずに下水処理場内で保管せざるを得なくなっている問題は、依然として県内の一部施設で続いている。

 県有施設では郡山市の県中浄化センターが原発事故以降、一度も汚泥を搬出できないでいる。汚泥の量を30分の1程度に減らせる既存の溶融施設で処理してきたが、施設の能力から発生汚泥すべてを処理できず、汚泥の保管量は7月19日現在、2万8953トンにまで膨れ上がり、センター敷地内には汚泥が入った袋が大量に並んでいる。

 このため、環境省は減容化に向け、センター敷地内に汚泥の焼却施設を建設、9月上旬には本格稼働する予定だ。1日に90トンの汚泥を20分の1程度に減容化する能力を持っており、状況の改善が期待される。

 同じ県有施設の国見町の県北浄化センターでは今年1月から、新たに発生する汚泥のセンター外搬出が始まっている。1日に発生する約40〜50トンの汚泥のうち、8割程度を県内外の肥料会社や中間処理業者に引き受けてもらえるようになった。

 それでも、1日当たり10トン程度、1カ月で300トン程度の汚泥をセンター内に新たに抱え込んでいるのが実情で、それまで保管していた量と合わせて7月19日現在、保管量は2万5140トンに達している。県は減容化を目的に、センター内に汚泥の乾燥施設建設を計画している。5分の1に減容化できる能力を持つ施設で、来年4月には稼働させる計画だが、減容化後の搬出先が決まっていないために住民が反対しており、計画は宙に浮いている状況。建設工事の入札のめどさえ立っていない。

 他の県有施設では、7月19日現在、あだたら清流センター(二本松市)は1583トン、大滝根水環境センター(田村市)は190トンを保管しているが、現在、新たに発生する汚泥のほぼ全量がセンター外に搬出されている。

 他に市町村有の下水処理施設の28施設で保管を続けており、保管量は合わせて約1万8千トンに達している。原発事故後早い時期に出た下水汚泥などについて、放射性物質の濃度が高いことなどを理由に、施設外に搬出できないケースが多い。このうち南相馬市は原発事故以降、一度も搬出実績はなく、仮保管施設を建設して対応している。

カテゴリー:震災から2年6カ月

県県中浄化センターでたまり続けている下水汚泥