東日本大震災アーカイブ

避難区域再編後の市町村 帰還時期ばらつき

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域は放射線量に応じて、帰還に向けた準備を進める避難指示解除準備、日中の立ち入りが可能な居住制限、年間被ばく線量が50ミリシーベルト超で立ち入ることができない帰還困難の3区域に再編されている。


■南相馬
 平成24年4月、避難指示解除準備と居住制限、帰還困難に再編された。人口は避難指示解除準備が1万2700人、居住制限が510人、帰還困難が1人。市は26年度以降の区域解除を想定している。ただ、国直轄の除染作業の遅れなどが懸念されている。住民との協議を踏まえ、解除時期や地域を検討する。


■楢葉
 昨年8月、町の大半を占める地域が避難指示解除準備区域となった。同区域の人口は7526人。国直轄除染の状況を踏まえ26年春に帰町時期を判断する。


■富岡
 3月、町内をおおむねの行政区単位で帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の3区域に再編された。帰還困難が4650人、居住制限が9800人、避難指示解除準備が1470人。町は原発事故から6年間は帰還しない方針。


■川内
 平成24年1月に「帰村宣言」を行い、同4月に避難区域を再編した。避難指示解除準備区域の人口は313人、居住制限区域は40人。


■大熊
 昨年12月、町民の96%に当たる約1万560人が暮らす地域が帰還困難区域に指定された。町は残る居住制限の約370人、避難指示解除準備の約20人で戻っても町民生活は成り立たないと判断し、5年間は帰町しないことを決めた。

 帰還するためには、この5年間に放射線量をどれだけ低減できるかが課題で、環境省に対し、帰還困難区域でも除染を行うよう要請している。


■双葉
 5月、線量に応じて、帰還困難区域、避難指示解除準備区域に再編された。人口は帰還困難が全体の96%に当たる約6270人で避難指示解除準備は250人となっている。

 町復興まちづくり計画(第1次)に、具体的な帰還時期は明記していない。町は、避難指示解除見込み時期の原発事故から6年後時点で科学的な知見に基づき、時期を判断するとしている。


■浪江
 4月、帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の3区域に再編された。人口はいずれも概算で帰還困難区域が3400人、居住制限区域が8420人、避難指示解除準備区域が8050人。日中の出入りが自由となった居住制限、避難指示解除準備両区域の人口は全体の8割に上る。

 町は東京電力福島第一原発事故から6年間は帰還できないという姿勢だ。


■葛尾
 3月、避難指示解除準備、居住制限、帰還困難の3区域に再編された。避難指示解除準備が1329人、居住制限が63人、帰還困難が119人。村民の約8割は仮役場のある三春町や隣接する郡山、田村両市に避難している。村は野行地区を除く帰村時期を平成27年4月に設定し、野行の住民や子育て世代向けに村営災害公営住宅を三春町に整備する。


■飯舘
 平成24年7月、年間放射線量に応じて帰還困難と居住制限、避難指示解除準備の3区域に再編された。

 帰還困難区域が277人、居住制限区域は全体の約80%の5281人、避難指示解除準備区域は794人。

 村は平成27年春からの住民帰還を目指している。


■田村・都路
 平成24年4月、避難指示解除準備区域に再編された。区域内の人口は359人。国の直轄除染は6月末に終了した。

 同区域では8月から3カ月間、申請すれば継続的に自宅に寝泊まりできる長期の特例宿泊が実施されている。8月中は43世帯121人が申請した。

 特例宿泊が10月末で終わるのを念頭に、冨塚宥けい市長は「住民の理解があれば、11月1日の区域解除が望ましい」としている。

カテゴリー:震災から2年6カ月