東日本大震災アーカイブ

大熊、楢葉に「設置可能」 中間貯蔵施設、環境省が中間報告

 除染で出た汚染土壌などを搬入する中間貯蔵施設の建設をめぐり、環境省は大熊町と楢葉町の建設候補地で実施したボーリング調査から「設置可能」とする中間報告をまとめた。6日、東京都内で開いた有識者でつくる中間貯蔵施設安全対策検討会で示した。両町とも建設候補地は安定した地盤の上にあり、地下水対策を施すことで設置が可能とした。同省は今月末にも具体的な建設場所などを盛り込んだ設置案をまとめる。今後、地権者への補償や県民の不安解消に向けた具体策を示せるかが焦点となる。
 環境省が中間貯蔵施設の候補地としているのは大熊町が6カ所、楢葉町が1カ所。地質を詳細に調べるボーリング調査は8月30日現在、大熊町の28カ所の全てと、楢葉町の14カ所のうち10カ所で現場作業を終えた。
 調査結果では、建設候補地の地下に「大年寺層」と呼ばれる固い泥岩層が分布し、地盤が安定しているとした。地下水の問題についても、水位が十分低く、水処理施設を設けることで汚染は回避できるとし、両町とも「設置可能」とする結果をまとめた。
 環境省は今後、未調査箇所の地質解析などを進める。その上で、建設場所や敷地の範囲などできるだけ具体的な設置案をまとめ、早ければ27日の次回会合で示す。
 会合終了後、井上信治副大臣は記者団に「施設を造るに値しているという(ボーリング調査の)結果が出たことは大変良かった。政府一丸となり現地への対応を進めたい」と述べた。設置案については「地盤の状況や環境影響の観点から、環境省として(建設場所には)ここがふさわしいと考えているという案を示させてもらいたい」との考えを示した。
 双葉町は1日までに住民説明会を実施したばかりで、ボーリング調査のめどは立っていない。井上副大臣は双葉町を含めた設置案を示す考えで、「ボーリング調査をした上で、あらためて設置案に反映させたい」と語った。
 中間報告について、大熊町の渡辺利綱町長は「地盤が安定していることと、建設受け入れの判断は別問題」と述べた。
 楢葉町の松本幸英町長は報告を受けていないとした上で「結果を聞いたとしても、私一人では決められない部分が相当ある。政府に説明を求め、さまざまな角度から検討し、判断したい」と慎重な姿勢を示した。
 政府は、4日に福島復興再生総局内に設置した現地推進本部を中心に、県や市町村、住民との協議を進める方針。県廃棄物対策課の担当者は「地元に対して丁寧に説明しながら検討を進めてほしい」と求めた。

カテゴリー:福島第一原発事故