東日本大震災アーカイブ

相馬の土地、賃貸締結 津波で全壊の県水産種苗研究所再整備

覚書に調印し握手する佐藤知事(右)と郡社長(中央)。左は立谷市長

 東日本大震災の津波で全壊した県水産種苗研究所を相馬市に再整備する県は13日、化学品メーカー・ADEKA(本社・東京)と用地の借地権設定の覚書を締結した。同社は、相馬市光陽の同社相馬工場の敷地約2・7ヘクタールを県に賃貸する。
 同日、県庁で佐藤雄平知事、郡昭夫社長が覚書に調印し、握手を交わした。佐藤知事は「本県漁業の復興に向けた大きな一歩になる」とあいさつ。郡社長は「福島の復興に向け会社を挙げて支援したい」と述べた。立谷秀清相馬市長が立ち会った。
 研究所は、相馬共同火力発電新地発電所(新地町)から1キロほど東側の相馬中核工業団地内に整備する。火発の温排水を利用し、ヒラメ、アワビ、アユの種苗を育成。本県沖などに放流し、県産ブランド再生の足掛かりにする。平成26年度に着工し、27年度末の完成、28年度の運用開始と放流を目指す。国の復興交付金を活用する。総事業費は約70億円。借地権の設定期間は30年以上50年未満。
 これまでの大熊町の施設は津波で全壊したため、24年からはヒラメを新潟県、アワビは静岡県の水産関係施設で生産している。