東京電力福島第一原発事故後、川内村で放射線被ばく調査を行った京都大は8日、村民の年間被ばく線量は平均約0.87ミリシーベルトで、国が追加被ばく線量の長期目標とする1ミリシーベルトを下回ったと発表した。「おおむね安心な数値」としている。
一方、除染が進んでいない山林で日常的に作業を行う人の場合、村民の平均値より年間3~8ミリシーベルト増える可能性があると指摘した。調査は平成24、25の両年度、村民延べ約1800人の協力を得て実施した。線量計で外部被ばく線量を調べ、食事を回収して内部被ばく線量を推定した。
年間被ばく線量の長期予測は、10年後は0.3ミリシーベルト前後、50年後は0.1ミリシーベルト前後としている。昨年、帰村した1歳児が90歳までに受ける被ばく線量は16ミリシーベルトと推定した。同大は今後も、同村での調査を継続する方針だ。
京都大の小泉昭夫医学研究科教授が村コミュニティセンターで開かれたシンポジウム「福島原発事故後の里山のあり方と復興再生へのシナリオ」の席上、調査結果を明らかにした。
シンポジウムは2部構成で、1部で小泉教授、岡田直紀地球環境学堂准教授、新添多聞防災研究所研究員が講演した。2部で総合討論を行い、清水修二福島大教授をコーディネーターに遠藤雄幸村長、岩本泰典コドモエナジー社長、小泉教授らが復興をテーマに意見を交わした。
(カテゴリー:福島第一原発事故)