東日本大震災アーカイブ

「健康管理」安心できる環境を/医療費無料化続けて 県民の思い切実

 原発事故から3年を経ようとする今も、県内の放射線量は原発事故発生前の数値を上回っている地点がほとんどだ。除染が進められているが、線量が元に戻るには長期間を要する。その地に暮らす県民は健康を守っていくため、さまざまな思いを抱く。

 県内には屋内遊び場が増えているが、福島市吾妻地区に住む主婦(36)は、放射性物質への不安が拭えない。「外の砂場には触らせられない。屋内遊び場はまだまだ必要」
 「体力を付けさせなくては」と、長男(3つ)を週1回は福島市民会館の屋内遊び場「さんどパーク」に連れて行く。本来であれば、思う存分外で遊ばせ、自然との触れ合いを体験させたいのが本音だ。しかし、どうしても放射性物質への恐怖が頭を離れない。万一、長男が葉や土に触ろうとすれば、「ばい菌だね」と優しく諭すという。

 原発事故発生の3カ月前に生まれた長男は、好奇心が旺盛で今が一番活発な時期。「物事を一番吸収する時に、外遊びさせてあげられないのは苦しい。早く除染を済ませ、安心な環境に戻してほしい」と望んでいる。

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 県県民健康管理調査の甲状腺検査などで、測定データを誤って入力するミスが相次いでいる。会津若松市の自営業金田幸子さん(69)は、県民健康管理調査について「県民は放射線への不安を抱えながら暮らしている。健康に関するデータは慎重に扱うべき」と訴える。

 原発事故発生後、県南地方に住む娘夫婦が一時、県外に避難した。「調査結果のデータは、福島に住み続けることを決断する一つの指標となる。正しいデータを発信してほしい」と要望する。

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 原発事故を受け県が平成24年10月に始めた18歳以下の医療費無料化について、福島市の会社員斎藤郁夫さん(39)は「3歳になった長女の将来を考えるとありがたい」と歓迎する。長期的に継続してほしいと望む。

 一方で、ホールボディーカウンターによる内部被ばく検査や甲状腺検査の頻度に不満がある。長女は一回目の検査で異常はなかったが、次の検査がいつになるのか分からない。「万が一、体に異変が起きたときのことを想像すると、早期発見に越したことはない。定期的な検査体制を早く確立してほしい」と注文を付けた。

カテゴリー:震災から3年