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地域振興策3010億円 中間貯蔵施設 知事らに国提示

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐり、石原伸晃環境相と根本匠復興相(衆院本県2区)は8日、郡山市で佐藤雄平知事らと会談し、施設を受け入れた場合の総額3010億円の地域振興策を提示した。1500億円の「中間貯蔵施設交付金」(仮称)と1千億円の「原子力災害福島復興交付金」(同)を新設、既存の電源立地地域対策交付金を30年間にわたり年17億円増額(総額510億円)する。
 「中間貯蔵施設交付金」は大熊、双葉両町を中心に県や両町以外の県内市町村が対象。施設整備による影響を緩和するため、風評被害対策や生活空間の維持に充てる。配分は県と両町で協議する。
 「原子力災害福島復興交付金」は県内全域の復興を効果的に進めるため広範囲な事業に活用する。県が基金を造成し、運用する。
 電源立地地域対策交付金は総額510億円を拡充する。廃炉後も特例措置として拠出している既存の電源立地地域対策交付金(毎年67億円程度)の30年間の継続も担保した。拡充分と合わせると今後30年間で2520億円が交付される。
 地域振興策については7月下旬の会談で、政府は全県交付とする内容を伝えたが、具体的な金額には触れず、県と両町は速やかな回答を求めていた。今回、財政規模が提示され、佐藤知事は「地元の意向を踏まえて検討してもらえた」と語った。大熊町の渡辺利綱町長と双葉町の伊沢史朗町長はともに「具体的な数字が示されたのは前進」とした。
 県と両町は内容を精査した上で議会と対応を協議する方針。既に政府が示している用地の地上権設定による賃借の容認や県外最終処分の法制化など他の条件と合わせて、受け入れの是非の議論に入るべきか判断する。

■運用、配分法など課題
 中間貯蔵施設をめぐる政府と県、大熊、双葉両町の交渉は、最大の焦点となっていた地域振興策の財政規模の大幅引き上げで、前進したといえる。
 ただ、提示された地域振興策では、交付金の運用方法が具体的に示されなかった。中間貯蔵施設交付金は1500億円の配分を県や両町で協議する。どのような手法で配分するのかなどが今後の課題となりそうだ。
 交渉前進の背景には、9月初旬の内閣改造や10月の知事選を控え、現体制で一定の決着をつけたいという双方の思惑が透けて見える。交渉相手が変わることで、積み重ねた議論が後退する可能性もあるためだ。
 佐藤雄平知事は石原伸晃環境相らとの会談後、「内閣改造してみないと分からないが、一つの区切りとの思いはある」と石原氏らが在職中に少しでも交渉を前進させたいとの思いを示唆した。
 ただ、施設整備に向けては、ハードルが残っている。政府は用地の補償額について「極めて個人のプライバシー的要素が強い」として前回までと同様、具体的な額を示さなかった。県や立地町の大熊、双葉両町が建設を受け入れても地権者との直接交渉での難航も予想される。政府のきめ細かな説明と対応が欠かせない。

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