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放射線 放射性物質 Q&A 甲状腺悪性リンパ腫と被ばくの関連は

 東京電力福島第一原発事故では、内部被ばくによる甲状腺がんが懸念されています。一方で、甲状腺にリンパ組織の腫瘍ができることがあると聞きましたが、被ばくとの関連はあるのでしょうか?

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー長崎大教授 高村昇さん

■被爆者に増加は見られない 慢性甲状腺炎の患者に多い

 甲状腺にできる悪性腫瘍のうち、もっとも多いものは乳頭がんと呼ばれるもので、甲状腺の悪性腫瘍の9割程度を占めます。
 一方、悪性リンパ腫はリンパ組織の腫瘍であり、全身のあらゆるリンパ組織を起源に起こってくるものです。甲状腺の中にはもともとリンパ組織はないので、悪性リンパ腫は通常は起こらないのですが、慢性甲状腺炎(橋本病)の患者は、甲状腺の中にリンパ球(白血球の一種)が増加しますので、まれに悪性リンパ腫を発症することがあります。甲状腺原発の悪性リンパ腫は、甲状腺由来の悪性腫瘍のうち2~5%程度を占めます。
 甲状腺の悪性リンパ腫は慢性甲状腺炎の患者で、甲状腺が急に大きくなったり、腫瘍のようにはれてくるのが最も特徴的です。甲状腺が大きくなることで「飲みづらい」「声がかれる」などの症状が出ることがあります。
 検査方法としては、超音波検査や実際に針を用いて甲状腺から細胞を取ってきて顕微鏡で観察し、最終的には甲状腺を実際に切除して観察することで診断を行います。治療法は、他の部位にできる悪性リンパ腫と同様、病気の進行段階に合わせて抗がん剤(化学療法)、放射線治療などを行います。
 甲状腺の悪性リンパ腫はその多くが慢性甲状腺炎の患者で発症します。一方、現在のところ、原爆被爆者やチェルノブイリ周辺地域住民で甲状腺の悪性リンパ腫の増加は証明されていません。

カテゴリー:放射線・放射性物質Q&A

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