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県内15医療機関里帰り出産が定着

 東京電力福島第一原発事故後に一時落ち込み、持ち直し傾向にあった県内での「里帰り出産」が定着してきた。県産婦人科医会によると、15医療機関の平成25年度の取扱件数は1050件で、原発事故をはさみ3年ぶりに1000件台を回復した。同会は「放射線に対する理解が広がり、妊婦らの不安が和らいだのが要因」と分析し、件数は今後も増えるとみている。
 県産婦人科医会は出産を扱う県内の産科医療機関を対象に、住民票のある県内外の居住地から実家に戻って子どもを産む里帰り出産の件数を調べている。全41医療機関のうち、20年度から継続して回答している15医療機関の結果をまとめた。
 20年度から25年度までの6年間で、15機関が扱った里帰り出産件数と全出産件数は【グラフ】の通り。22年度に1184件だった里帰り出産は、原発事故直後の23年度に567件となり、ほぼ半減した。24年度は前年度を250件上回る817件で、25年度に1050件まで持ち直した。
 原発事故直後、放射線に対する不安が県内の妊娠中の女性に広がったことを受け、同会や産科医療機関は妊婦らを対象とした講演会を開いた。放射線についての正しい知識を伝え、冷静な対応を呼び掛けてきた。同会の幡研一会長=福島市・明治病院理事長=は、こうした取り組みなどの成果で過剰に放射線の影響を心配する動きが収まったとみている。
 県内では除染が進み、放射線量が低下傾向にあることを踏まえ、幡会長は「県内で子どもを産むことに妊婦や家族の不安が薄らいできている。県内での里帰り出産の件数は今後、さらに増えるだろう」とみている。
 川崎市の尾形理江さん(29)は二本松市の実家に帰省し先月、福島市内の産婦人科医院で出産した。「福島県内の放射線量を自ら調べ、健康への影響は気にする程度でないと考えた」と話している。
 一方、県児童家庭課は「県内で子育てしている母親の放射線への不安解消と支援に引き続き努めたい」としており、27年度以降も子育て電話相談、県助産師会の行う母乳の放射性物質検査への全額補助などを継続する方針だ。


■全出産件数も回復

 里帰り出産を含めた県内の15医療機関の全出産件数も回復している。25年度は5970件で、前年度より770件増えた。少子化が進む中、原発事故前の年間6千件台に迫っている。

カテゴリー:福島第一原発事故

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