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復興への闘い 震災3年の現実(19)第3部 市町村の奮戦 教育旅行回復道半ば

連休に観光客でにぎわう鶴ケ城=22日

 穏やかな天気が続く3連休、会津若松市の鶴ケ城には大勢の行楽客が県内外から足を運んだ。兵庫県と神奈川県の女性は修学旅行で訪れた思い出をたどり、天守閣を見上げた。「お城はきょうもきれいね」
 平成26年度、鶴ケ城の入場者は10月末までに約82万8000人を数えた。NHK大河ドラマ「八重の桜」が放映された25年度より少ないものの、東日本大震災前の同時期の平均客数80万人を上回った。
 観光関係者の多くは、まずまずの入り込みに胸をなで下ろす。観光誘客を担当する市観光課長の長谷川健二郎(52)の考えは違った。「八重効果は薄い。風評の影響が残っている」。はじいた数字を見詰めた。
 問題としているのは教育旅行の数だ。25年度は延べ786校、5万3419人が市内を訪れた。震災前の22年度の1081校、7万9750人に及ばないが、8割程度まで戻った。今年は10月末までに800校、5万5000人になり、回復しつつあるように見える。
 東京電力福島第一原発事故発生後、放射線の影響を心配し、原発から離れた会津地方を訪れる県内の学校が増えた。県内への教育旅行費の一部を補助する県の支援もあり、市内を訪れた県内の学校は22年度の240校、1万7465人から、25年度は417校、2万9484人と倍近くになった。26年度は11月までの概算で約300校、2万人を超える。
 一方、県外からは25年度が369校、2万3935人と震災前の半数に満たない。26年度は11月までの概算で目標の450校を上回る見込みだが、震災前の約800校、6万人には程遠い。

 「子どもに放射線の影響が絶対にない、と言い切れるのか」。市や観光団体が震災前から続ける教育旅行の誘致活動で、隣県に出向いた職員は保護者に問い詰められた。学校関係者の多くも「もう少し様子を見たい」と歯切れが悪かった。
 教育旅行先は訪問先が一度変わればすぐに呼び戻すのは難しい。一般的に3~5年は変えない場合が多い。児童生徒の反応や交通の便利さ、宿泊施設の対応などを数年かけ確認する。県内は風評が追い打ちとなる。「原発で汚染水漏れ」などと報道があるたびに職員は「復興支援でせっかく市内を選んでくれた学校が旅行先を変えるのでは」という不安に駆られている。
 首相の安倍晋三は18日、衆院の解散を表明した。選挙活動で復興が停滞しないよう求めた知事の内堀雅雄に対し、教育旅行拡大に努めると約束した。長谷川は「国がどのように支援してくれるかは分からない。今は原発事故の風評に対し地道に安全性を説くしかない」と職員に伝えている。
 県内の市町村は秋の行楽期や主な行事が終わり、新年度を見据える時期に入る。震災と原発事故から3年8カ月が過ぎたが、事故収束作業は思うように進まず、観光客の増加や交流人口の拡大を妨げる。衆院が解散し、市町村職員は選挙準備に追われながら、新たな売り込みや地域の活性化策に走る。

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