福島政経懇話会(会長・内堀雅雄知事)の第254回例会は4日、福島市の民報ビルで開かれ、元外務省国際情報局長で元防衛大学校教授の孫崎享(まごさき・うける)氏が「安倍政権の外交、安全保障政策と課題」と題して講演した。
孫崎氏は、東京電力福島第一原発事故の発生時、国民に情報が伝えられなかったと指摘し「国民が判断するために必要な情報が大手メディアを中心に正しく流されていない」と現在の報道の在り方を危惧した。
集団的自衛権の問題については、国の中枢にいた人たちが「十分に国民的な議論を尽くした上で憲法改正で国民の意見を集約し、国民の覚悟を求める手続きが必要だ」と安倍政権の手法に異を唱えている事実を紹介しながら「正しい情報が国民に知らされない方向で重要なことを決めるのは民主主義国家ではない」と批判した。
中国と韓国との領土問題に触れ「憎しみ合いしか生まれない領土を奪い合うという考えではなく、お互いの繁栄を目指す"協力による実利"を、日本のありようとして選択肢に考えていいのかもしれない」と話した。
福島民報社の佐藤研一論説委員長があいさつし、講師を紹介した。
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