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【3.11から4年】「県民健康調査」健康守る取り組み続く 甲状腺検査2巡目

 「県民健康調査」は東京電力福島第一原発事故に伴う県民の放射線被ばく線量の評価と健康維持を目的に続けられているが、事故後4カ月の外部被ばくを推計する「基本調査」の回答率が頭打ち状態となっている。子どもの健康を守る目的で始まった甲状腺検査は内部被ばく線量の分析による甲状腺がんとの因果関係の解明にまで踏み込むべきだとの声が上がる。一方、妊産婦調査で、出生児の先天的異常が全国平均と変わらないことが判明した。事故発生から4年となり、調査体制の見直しを含めた議論が始まろうとしている。

■検討委座長「放射線影響考えにくい」

 原発事故を受けた子どもの甲状腺検査は一巡目の先行調査を終え、二巡目の本格検査に移行した。
 先行検査で「問題ない」とされた一人が昨年4月から始まった本格検査で甲状腺がんと診断が確定したが、県「県民健康調査」検討委員会の星北斗座長(県医師会常任理事)は検討委で「これまでの評価を変える必要はない」と述べ、現時点で放射線の影響は考えにくいとの従来の見解を維持した。

 福島医大の報告によると、本格検査でがんと確定した1人の他に、がんの疑いは7人。この8人は男性4人、女性4人で、事故当時6~17歳だった。8人は福島、田村、伊達、大熊、浪江の市町にそれぞれ居住し、先行検査では「問題ない」とされる「A」判定(「A1」5人、「A2」3人)だった。

 本格検査で「B」判定とされた611人のうち、411人(72・2%)は先行検査で「A」判定(A1、A2)とされていた。

 手術を担当する福島医大の鈴木真一教授は「甲状腺の学会で(多くの専門家に)全ての画像を見てもらったが、検査での見落としはなかった」としている。さらに、がんの発生頻度について「(これまでと)ほぼ同じ傾向」との認識を示した。

 一般的に甲状腺がんは他のがんに比べ成長が比較的遅いとされる。一方で、検討委の委員からは「成長が速いがんである可能性も念頭に置く必要がある」「判定がBからAに改善した例も考慮すべきではないか」と多角的な意見も出ている。

 県や福島医大は県民の健康を見守ることを検査の主眼に置いてきたが、検討委では被ばくの影響の解明を求める声が高まる。被ばくと甲状腺がんの因果関係を解明していくためには内部被ばく線量の分析が欠かせない。ただ、現行の県民健康調査では、行動記録などを基にした原発事故後4カ月間の外部被ばく線量の推計が基本となっている。

 星座長は内部被ばく線量の分析について「糸口は細いが、やらなければならない」と、調査方法の見直しに言及している。

■問診票回答進まず 新たに戸別訪問調査実施へ

 検討委は甲状腺検査の時期や年齢、被ばく線量など多方面から慎重に分析を進める方針だが、影響の有無を判断する上で重要な基礎データとなる個人被ばく線量の収集が進んでいない。
 原発事故後4カ月間の外部被ばく線量の推計は、全県民を対象とした基本調査の問診票を基にしている。昨年12月31日現在の回答率は27・0%(55万4241人)にとどまる。前回公表の昨年10月31日時点と比べ0・1ポイント上昇しただけだった。
 回答率には地域差があり、最も高いのは相双の45・5%で、次いで県北29・9%、いわき25・0%、県中23・7%などと続いた。最も低いのは南会津の20・0%だった。
 事故直後の記憶が薄れ、行動記録の記入が難しいのが主な要因とみられ、検討委の委員からは「これ以上、回答率を上げることは難しいのではないか」との意見も出ている。
 さらに、現行の基本調査では、情報量に乏しく被ばく線量の推計に偏りがあるのではないかとの指摘も出ている。そのため、県と福島医大は平成27年度内に県内各地から無作為に4千~5千人程度を抽出し、新たに戸別訪問調査を実施する。
 事故後の行動記録を記入してもらうなどして被ばく線量の推計をまとめる。これまで実施してきた基本調査での推計値とどのような違いがあるかを分析し、今後の調査の在り方を再検討することにしている。

■「通常診療」公費負担に

 一方で懸案に見通しがついた部分もある。県は平成27年度、県民健康調査「甲状腺検査」で、通常診療(保険診療)に移行した際に生じる医療費の公費負担を決めた。
 国の27年度予算案に計上された「放射線被ばくによる健康不安対策事業」(7億8100万円)から、医療費の公費負担に拠出される方針が固まったためだ。ただ、額は未定で、市町村の意向を踏まえ具体的な支援策を決める。
 甲状腺検査は超音波を使った一次検査、血液や細胞などを調べる詳細な二次検査の医療費負担はない。だが、経過観察などで通常診療(保険診療)に移行した場合、医療費や甲状腺がんの手術費は原則として自己負担となっている。県は、一巡目の先行検査で「B」判定とされた約1300人の多くが、医療費を自己負担しているとみている。
 県は原発事故後、18歳以下の医療費を無料化しているが、19歳以上になった甲状腺検査受診者の経済的負担の増加が課題となっていた。県は昨年、通常診療で生じた医療費は原発事故がなければ発生しなかったとして、経済的負担を解消するよう国に財政措置を求めていた。

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