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福島をつくる(32) 第3部 DCで魅力発信 風呂山公園(塙)

ふくしまDCを前に、山ツツジの状態を確かめる天沼(右)と本多

<山ツツジ4000本再生 町の誇り 受け継ぐ>

 「風呂山公園」は塙町の中心部を見下ろす小高い里山にある。4月下旬、一帯は鮮やかな朱色に染まる。約4000本の山ツツジが燃えるように咲き、来訪者は心を奪われる。
 町は4月からの大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」が知名度を上げるきっかけになると踏む。先人が大正元年に植樹して今年で103年。まち振興課長の天沼恵子(56)は山ツツジの再生に奔走した。「町の誇りを多くの人に見てもらいたい」。今、期待に胸が躍る。

 平成元年ごろ、輝きが色あせる危機を迎えた。
 山の上部を中心に、花を付けない木々が目立ち始める。地元住民は長年、下草刈りなど保全に努めてきたが、栄養の欠乏による樹勢の衰え、コケの付着、剪定(せんてい)不足などが原因とみられた。当時の風呂山公園の維持・管理費は年間数十万円ほどだった。再生対策に充てる十分な予算はなかった。
 町は8年ごろから観光振興に力を入れ始め、公園内の草刈り、山ツツジの施肥、剪定などに取り組んだ。試行錯誤を繰り返したが、十分に回復しなかった。
 「歴史ある名所を衰退させるわけにいかない」。町民の「共有財産」を守ろうと、天沼は活動の先頭に立つ。

 18年春、企画振興課政策推進室長だった天沼は本格的な保護対策を始めた。「剪定や施肥を本格的に実施するにしても、数を知らなければ必要な対策も予算も分からない」。本数すら不明だった山ツツジの現状を把握するため、町民からボランティアを募り、本数を調べ始めた。別の主眼もあった。町民による調査が、先人の遺産を自らが守り育てる意識の芽生えになるよう期待した。
 土壌改良も始めた。花が咲かない木の根元周辺の土を、炭や貝の化石を混ぜた土と入れ替えた。病気や害虫に強い液剤を使う実験を重ね、初めて消毒液を散布した。塙町さつき愛好会の協力で、剪定などの手入れを大掛かりに実施した。
 継続的な資金確保が次の課題に挙がる。協業組合福島県南環境衛生センター理事長の本多昌雄(75)と天沼の出会いが古里をつくる夢の実現へ強力な後押しになった。

 ふくしまDCが始まる4月1日まで1週間余り。県内の魅力を全国に発信する好機となる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興へ歩む県民の思いを来訪者に直接伝える機会でもある。先人から引き継いだ宝、新たに生み出した産品や自慢...。古里をつくる力を探る。
(文中敬称略)

カテゴリー:福島をつくる-未来への挑戦

問い合わせ=塙町観光協会 電話0247(43)3400

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