■農業 菊地将兵さん 29
相馬市大坪の農業菊地将兵さん(29)は相馬産のコメや野菜などをニワトリの飼料に与えた卵「相馬ミルキーエッグ」の販売を始めた。地元農産物の風評払拭(ふっしょく)と相馬の新たな名産品を目指す。
市内の小中学校と仙台市の高校を卒業後、全国各地の農家に住み込み農業を学んだ。東日本大震災発生時は東京で暮らしていた。不安は大きかったが「地元で農業をしたい」との夢をかなえるため震災直後の平成23年5月に帰郷した。
野菜作りを経て、ひよこを育て始めた。半年が過ぎ約110羽のニワトリが卵を産むようになった。餌には煮込んだ魚のアラを加え、水に混ぜたヨーグルトを与えて乳酸菌を補えるよう工夫。夏の暑い時季はトマトやスイカ、特製のニンニクエキスで夏ばて解消に努めた。伸び伸びと運動できるスペースも設けた。「ニワトリは人間と同じ。旬の物を食べれば体が丈夫になる」との思いからだった。
卵の殻には赤みがあり堅く、黄身は盛り上がるほどしっかりしており、箸で持ち上げられる。1日に生まれる卵は約40個。市販の卵に比べ値段は4倍ほどするが、相馬市内の飲食店に出荷し好評を得ている。妻陽子さん(30)と二人三脚で取り組んでいる。
活動が徐々に知られ、近所の農家から農地やハウスを貸してもらえるようになった。生まれ育った地域が旧大野村であることから「大野村農園」を設立した。
現在は養鶏と野菜作りに取り組んでいる。25日にはニワトリの餌やりなど親子向け事業を企画している。「若い人にも農業に参加してもらい相馬を盛り上げたい。食育事業を通じて食の安全を伝えたい」と話している。
大野村農園のホームページで注文を受け付けている。問い合わせは同農園 電話090(7574)3114へ。
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