東京電力福島第一原発事故に伴う自治体賠償の福島民報社調査で、裁判外紛争解決手続き(ADR)による和解仲介の申し立てを検討しているのは県内59市町村のうち15市町村に上った。しかし、事務作業が増す側面などもあり、申し立てに踏み切るかどうかは慎重に判断するとみられる。
15市町村のうち、双葉町は東電 からの支払額がゼロで、申立書の提出に向けた弁護士との協議に入った。矢吹町は東電からの支払額が請求額の4・0%にとどまり、「今後の(東電の)対応次第でADRも視野に入れる」と回答した。
田村市は申し立ての手続きで事務量が増え、準備作業に長い時間を要するなど「新たな負担が生じる」との懸念を抱く。本宮市は「申し立てすれば、それ以後、(東電との)交渉の道が閉ざされる」として、申し立てが市にとって有効かどうか見極める考えだ。
一方、申し立てる予定はないと答えた伊達市は「ADRは民間賠償を迅速化するための手法。自治体賠償にはなじまない」との見解を示した。
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