国と県が双葉、浪江両町に設置する復興祈念公園の基本構想について、県は東日本大震災と原子力災害による複合災害の経験を将来に伝え、世界と教訓を共有する場となるよう国に提言する。5日に福島市で開かれた県の有識者会議で県が提言の骨子を示した。
県提言の骨子の主な内容は【下記】の通り。「ふくしまの被災を将来につなげる」の項目では、原子力災害に見舞われた県内特有の経験を風化させず、将来に継承する公園となるよう提案。アーカイブ(記録庫)拠点施設や震災遺構との連携、東京電力福島第一原発を望む公園丘陵部からの景観の活用によって、教訓を世界と共有できるとした。
公園の基本的な役割については、震災や原発事故の影響で亡くなった人々への追悼と鎮魂の場、避難者らの心のよりどころとした。震災前の思い出深い風景や自然、文化、歴史を感じる場所とする。
会合では「原子力災害や複合災害といった文言をしっかり明記すべき」「地域の人の思いを素直に表現してほしい」「世界的な視点で意義を強調すべき」などの意見が出た。
有識者会議は、国がつくる基本構想への県提言を3月末までにまとめ、県が4月以降に国に提出する。
■アーカイブ拠点公園近隣設置を
会合では、県が公園への併設を検討しているアーカイブ拠点施設について、有識者会議としても公園の近隣に設置するよう県に要望することを決めた。
■復興祈念公園基本構想への県提言の骨子
◎東日本大震災で犠牲となった全ての生命(いのち)への追悼と鎮魂
・地震や津波、避難所への移動中、肉体的・精神的疲労で亡くなった方々が存在し、多くの悲しみに包まれた。震災で失われた全ての生命へ想いを寄せ、復興を祈念する場として、多くの人が集うことのできる祈りの空間とする
◎着実に復興を進めていく福島の姿を国内外に示す
・復興の象徴として福島の姿を国内外に示していく
・避難生活を余儀なくされている方々が故郷の記憶を想起することにより、心のよりどころとなる
・国内外の人々が集い、交流する場とする
◎ふくしまの被災を将来につなげる
・人類史上、経験のない悲惨な経験を繰り返さないため、アーカイブ拠点施設や震災遺構と連携し、将来に被災の記憶を引き継ぐ
・公園丘陵部からの眺望、景観を活用するなどして、被災の事実を世界と共有する場としていく
・除染の徹底に加え、避難路の確保や誘導のための情報提供施設など、安心して公園を利用できる環境が求められる
(カテゴリー:福島第一原発事故)