東日本大震災アーカイブ

凍土遮水壁の設置完了 凍結開始時期は決まらず 第一原発

設置工事が完了した凍土遮水壁の冷却用配管

 東京電力福島第一原発の汚染水対策の切り札とされる「凍土遮水壁」の設置工事が9日、完了した。東電は今年度中に稼働させ、凍結を完了させる予定だが、原子力規制委員会が運用を認めていないため、凍結開始時期は決まっていない。

 冷却材の温度計の調整などを完了し、9日午後3時15分ごろに工事を終了した。平成26年6月から設置工事を始めた。1~4号機を囲むように凍結管計1568本を埋設し、マイナス30度の冷却材を循環させて地盤を凍らせる。建屋への地下水流入量を現在の約200トンから半減できると試算している。
 しかし、規制委は、遮水壁の効果で建屋周辺の地下水位が下がると、建屋内にある高濃度の汚染水が外に漏れだす可能性があると指摘。東電はサブドレンと呼ばれる建屋周辺の井戸からのくみ上げ量調整などで水位管理が可能としているが、規制委は1月27日の検討会で、安全性の説明が不十分とした。
 15日に開かれる検討会で指摘を受けた項目を東電が説明する。規制委の理解が得られなければ、今年度中の凍結は不透明な状況となる可能性が高い。

カテゴリー:福島第一原発事故