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制度に揺れる(5) 国、原則論に終始 求められる政治の力

 国会内の一室に2月中旬、与野党の国会議員が集まった。東京電力福島第一原発事故の被災者を支える子ども・被災者支援法の政策を確実に実現していくために発足した超党派の議員連盟の会合が開かれた。
 この日は被災者団体メンバーと意見を交わした。避難区域外からの自主避難者への住宅無償提供を平成28年度末で打ち切る県の方針などが議題に上がった。一方、県などが国に再三求めている18歳以下の医療費無料化を継続するための財政措置は話題にすらならなかったという。

 24年6月に成立した支援法は医療費無料化などを視野に、当時与党の民主党の法案と自民党など野党7党の法案を一本化して制定された。支援の在り方など理念を示す内容で、具体的な支援策をまとめた基本方針は一年以上も過ぎた25年10月に閣議決定された。
 この間、自主財源による医療費無料化の実施を余儀なくされた県は基本方針に国の財政措置を盛り込むよう国に訴え続けた。しかし、結果は空振りだった。昨年8月の基本方針改定でも反映されなかった。
 一連の対応について、支援法を所管する復興庁の担当者は「原発事故の被災県といえども、特定地域だけの無料化を基本方針に入れるのは(医療制度の)公平性の観点から難しい」と説明する。支援法以外での対応についても「現時点で考えていない。医療費無料化はあくまで県独自の施策だ」との見解を示す。

 議員連盟の会長代行を務める新党改革の荒井広幸(参院比例代表、田村市在住)は支援法で医療費無料化を担保するのは可能との認識だ。実現に向けては「まずは議連の国会議員が結集して政府に訴えていく必要がある」と指摘する。
 法案提出者の一人だった自民党の森雅子(参院本県選挙区)は「無料化の根拠となる法律であるべき」として、週明けの国会で政府の姿勢をただす。同じく法案提出者だった民主党の金子恵美(衆院比例東北)も「福島にとって無料化は重要な施策で、継続させないといけない」と強調する。しかし、総じて見れば議員の動きは鈍い。
 制度上の「原則論」を盾にする国の態度を覆すのは容易ではない。厚い壁を突破するにはさらなる政治の力が求められる。(敬称略)=「制度に揺れる」は終わります。

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