東日本大震災

「福島第一原発事故」アーカイブ

  • Check

県民に寄り添う対応を 健康調査、福島で検討委

 福島市で14日に開かれた県民健康調査検討委員会で、委員から今後の検査の在り方について長期的に事業を継続するとともに、より県民に寄り添った対応を求める声が上がった。

 清水一雄委員(日本医大名誉教授)は「被災者に寄り添った立場の対応をまず考えるべき。その上で検査で『必要なこと』『必要でないこと』を判断した方がよい」と述べた。堀川章仁委員(双葉郡医師会長)は甲状腺検査だけでなく、身体的、精神的見守りの必要性を指摘。「震災、原発事故から5年以上がたって生活状況が変わる中、ここで目を離すべきではない」と主張した。
 春日文子委員(国立環境研究所特任フェロー)は長期的な検査に理解を示した上で「検査などの長所、短所をできるだけ分かりやすく、丁寧に説明することが必要だ」と唱えた。今後の課題として高村昇委員(長崎大原爆後障害医療研究所教授)は受診率の低下を挙げた。「県外に転出した人たちを含め、検査しやすい態勢づくりが求められる」とした。
 清水修二委員(福島大経済経営学類特任教授)は「被ばくの影響の確認を求めるあまり、県民に痛手を与えてしまうのは(検査趣旨に反して)本末転倒になる」とし、検査目的と丁寧なケアの両立を求めた。

■県民受け止めさまざま
 保護者からは放射線への不安から検査継続を支持する意見が多く聞かれた一方、長期に及ぶ検査を負担に感じる声も出ている。
 二本松市に避難している浪江町の女性(43)は中学3年の長男と中学1年の長女が対象となっている。「検査で見つかったがんと原発事故には因果関係はないとされているようだが、正直、不安はある」と制度の継続を望んだ。飯舘村は県による検査の合間に独自に検査しているが、転出すれば受診できなくなる。中学1年と小学6年の娘2人を育てる会社員女性(37)は「県民なら誰でも受けられる検査を続けるべきだ」と訴えた。
 小学6年の長男の検査結果に異常はないという郡山市の公務員男性(46)は「変異する可能性もゼロではない。学校検診に盛り込むなど負担の軽い方法で続けてほしい」と求めた。
   ◇  ◇ 
 14日の検討委員会で県が示した「県民の声」からは検査を巡って県民の悩みの奥深さも浮かんだ。
 「いつまで検査を続けなければならないのか」「放射線の影響評価のために検査を受けさせているわけではない」「検査自体が負担」-。県や福島医大には現在も電話やメールで意見や要望が寄せられているという。
 長女(6つ)が検査を受けている福島市の主婦(32)は検査は必要としつつ、「結果の信ぴょう性を疑うこともある。検査の案内が届くたびに言い様のない気持ちになる」と複雑な胸の内を明かした。

■2巡目の子ども甲状腺検査 がん確定34人に
 東京電力福島第一原発事故を受け、平成26年4月に始まった2巡目の子どもの甲状腺検査(本格検査)で、6月末までに甲状腺がんと確定したのは34人となり、前回公表(3月末現在)から4人増えた。1巡目の先行検査と合わせると、がんと確定したのは135人となった。
 14日に福島市で開かれた県民健康調査検討委員会で県と福島医大が示した。
 本格検査のがんの疑いは25人で前回公表より2人減り、「確定」と「疑い」の合計は前回より2人多い59人となった。内訳は男性25人、女性34人で、2次検査時点の年齢は9歳から23歳だった。59人のうち、事故から4カ月間の外部被ばく線量が推計できた32人の最大線量は2・1ミリシーベルトで、1ミリシーベルト未満は12人だった。
 本格検査で血液や細胞などを詳しく調べる2次検査に進んだのは計2217人。26年度は15万9104人が1次検査を受診し、全体の0・8%の1303人が2次検査の対象となった。27年度の1次検査受診者は11万1274人で、0・8%に当たる914人が2次検査対象となった。
   ◇  ◇
 県は3巡目の甲状腺検査(本格検査)の1次検査の実施状況も示した。平成29年度分の検査も前倒しで28年5月から実施している。

■事故後4カ月の外部被ばく 1ミリシーベルト未満62.2%
 県は県民健康調査の基本調査で得られた原発事故後4カ月間の外部被ばく線量の推計結果を報告した。全体の62・2%に当たる28万8240人が1ミリシーベルト未満だった。
 各地方の合計人数に対する1ミリシーベルト未満の割合は県北が20・0%、県中が51・5%、県南が88・3%、会津が99・3%、南会津が99・3%、相双が77・3%、いわきが99・1%だった。推計結果には放射線業務従事経験者は含まれていない。

カテゴリー:福島第一原発事故

「福島第一原発事故」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧