東日本大震災

  • Check

福祉避難所確保の市町村 応援体制整備2割のみ

 災害時に高齢者や障害者らを受け入れる福祉避難所を確保した県内の市町村は3月時点で51市町村と東日本大震災前の平成22年の11市町村から大幅に増えたが、緊急時の応援体制を整えたのは人的支援で11市町、物資支援で12市町村と全体の約2割にとどまる。人口流出や過疎化などで人材や事業所が不足し、地域だけで応援体制をつくるのは難しい背景がある。県は福祉人材派遣の広域連携など新たな対策の検討に入る。

 県などが9日までに福祉避難所について3月現在の市町村の指定状況をまとめた。福祉避難所は高齢者施設など設備の整っている社会福祉施設が指定されている。福祉避難所を指定した市町村の推移は【グラフ】の通り。震災前の22年3月は11市町村だったが、震災や東京電力福島第一原発事故直後に福祉避難所がなく震災関連死などの問題が明らかになって以降は国、県が市町村に指定を促し、今年3月には51市町村が確保した。指定施設は22年は37カ所だったが、今年3月は359カ所に増えた。
 人的支援で対応した市町村は【※1】の通り。内閣府のガイドラインは施設に避難した高齢者ら10人につき、社会福祉士ら生活相談員一人の配置を目安にしている。11市町が地元の社会福祉協議会や介護事業者などと協定を締結し、災害時に専門職員を派遣してもらう体制をつくった。近く締結するとした自治体もあるが、「検討中」「今後詳細を決める」との答えが目立った。地域で人材が不足し、締結に至らない市町村があるという。
 ガイドラインでは福祉避難所への車椅子や紙おむつなど福祉機器、備品の配備も必要としている。物資支援に対応した市町村は【※2】の通りで、12市町村が県福祉機器協会と協定を締結するなどの応援体制を取っているとした。地域内の事業所数に限りがある上、県内は広域のため、災害発生時の輸送の難しさを心配する声が出ている。
 県内の福祉避難所のうち社会福祉施設は全体の8割に上り、慢性的に介護職員が不足する中で避難者への対応を迫られる懸念がある。熊本地震では施設入居者の対応で職員の手が回らず、新たな人的支援もなく予定された福祉避難所が開設できない例があった。
 県は市町村へ応援協定の締結を呼び掛け、市町村や地域の枠を超えた広域連携の在り方について全国の事例を参考に検討する。他県と福祉職員チームを派遣し合う体制づくりを視野に入れ、国に新たな支援制度の創設も求める考えだ。
   ◇  ◇
 県によると、3月現在で福祉避難所が未指定なのは8市町村。このうち、二本松市は県の調査後に指定、磐梯、矢吹の両町は今年度内に指定する見込み。原発事故による住民の避難が続く富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾の5町村は未定。

※1・福祉避難所への生活相談員の応援協定などの対策を取っている市町
福島、いわき、須賀川、相馬、伊達、下郷、南会津、会津坂下、金山、矢祭、小野

※2・福祉避難所への福祉機器調達の応援協定などの対策を取っている市町村
福島、いわき、須賀川、相馬、南相馬、伊達、天栄、下郷、南会津、金山、矢祭、小野

東日本大震災の最新記事

>> 一覧