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(44)技を極める 地元の人材生かす

プログラミング言語が書かれた紙ナプキン。会津大の食堂に置いてある

 会津若松市のIT企業「Eyes,JAPAN(アイズ・ジャパン)」の社長山寺純(48)は1枚の紙ナプキンをつまんで見せた。「これも人材集めの一つなんですよ」。アルファベットや記号が縦横に並んでいる。一見して何か意味があるとは思えない。だが、コンピュータプログラマーなら分かるという。
 羅列されているのはコンピュータに使うプログラミング言語だ。クロスワードパズルの仕組みで、解き進めるとアイズ・ジャパンのEメールアドレスが表れる。紙ナプキンは会津大の食堂に置いてある。「一体、どこのアドレスなの」と関心を抱き、会社にメールを送ってくる学生もいる。そうした若者を積極的に採用している。好奇心旺盛な人材は辞めずに戦力になってくれるという。
 山寺の仕事は現在も、自らの出発点となった会津大と切っても切り離せない。「会津大はコンピュータ部門で東大にも負けない。世界的な人材の宝庫だ」

 地方のITベンチャー企業は人材の確保が難しい。プログラマーの能力は企業の実績に直結する。首都圏などのIT関連企業と人の取り合いになるが、大都会での仕事にあこがれる若者が多いのが実態だ。
 そんな中、アイズ・ジャパンはアルバイトで会津大生を雇う。早い段階から社風になじみ、社員と人間関係を築いてもらう。卒業後に正社員として採用する。こうした人材が同級生を紹介してくれるケースもあり、会社を支える基盤が強固になる。会社説明会など新人の採用に時間を裂かず、本来の事業に集中できるメリットもある。
 「会津大があるからこそ今の自分がある。優秀な学生を育ててくれていることに感謝している」と語る。今後も「二人三脚」で歩む考えだ。

 会津大への恩返しになればー。3年前から社員を講師として送り込み、1年生にコンピュータのセキュリティーシステムを教えるようになった。
 アルバイトで採用した学生をロシアや中国など海外で開かれるプログラムの大会やハッカソン(IT技術イベント)などに出場させている。平成25年に開かれた医療分野の次世代情報技術の開発者コンテスト世界大会では、同社と会津大生らによる日本選抜チームが世界一に輝いた。
 地方都市にある大学に学んでいても、世界で通用すると証明した。「若者は自らの可能性を信じて努力を続けていってほしい」と願う。(文中敬称略)

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