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住民集える場復活 岩間区長 斎藤正志さん 71 ~いわき市岩間町~

移転した自宅前ですくすくと育っている啓生ちゃんを抱えながら地域の将来像を語る斎藤さん(右)

 平成25年4月にいわき市岩間町の区長に就いた。市南部の岩間町は震災の津波で甚大な被害を受けた。住宅の高台移転に向けて行政との折衝に当たった。生後7カ月の孫啓生(ひらく)ちゃんら次代を担う世代に震災の教訓を伝えなければならないとの思いを強くしていた。

 3月いっぱいで区長の任期を終える。無我夢中で駆け抜けた4年間だった。高台の岩間町小原地区への住宅移転は一昨年春にようやく1軒が転居し、2月末現在で13軒が引っ越しを済ませた。代々守ってきた土地を譲渡してくれた人たちに心から感謝している。

■『当たり前のありがたさ』
 自分も28年3月に小原地区に移り住んだ。引っ越して感じたのは、暮らし続けていくための環境整備の大変さだ。ゴミ集積所は近くにあって当たり前と思っていたが、移転先ではまだ世帯数が少ないため設置の許可が市から下りず、離れた集積所まで運ばなければならなかった。当初、街灯は1基もなかった。夜間の交通事故防止や防犯の面で不安だったが、地元企業などの協力で設置できた。

■『つながりを保ちたい』
 心配なのは、今後も住民間のつながりを維持できるか。高台の宅地には限りがあり、3カ所に分散しなければならなかった。避難先で住宅を再建する人もおり、岩間町にあった震災前の90世帯が今は30世帯ほどに減った。
 朗報もある。5日に新しくなった岩間町集会所が落成する。地元事業所の会議室で開いていた岩間町の総会を新しい集会所で開く。自分たちの集会所で開催するのは6年ぶりだ。住民が集える場所の復活が人と人とのつながりをつなぎ止めるきっかになればと願っている。さらに来年1月には正月送り行事「とり小屋」を復活させる。少しずつだが震災前の暮らしが戻っている。
 孫の啓生は4歳になり、元気に幼稚園に通っている。私たち家族の希望だ。次の世代を担う地域の子どもたちのためにも新しい街が活気づき、より良くなってほしい。区長を退いても引き続いて地域づくりに関わっていきたいと思っている。

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