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「避難生活」依然続く避難生活 県内避難者、県外下回る

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による県内外を合わせた避難者数は2月20日現在、7万9446人で初めて8万人を割った。最も多かった平成24年5月の16万4865人から半減した。しかし、避難者1万2381人が依然として県内の仮設住宅で不自由な暮らしを余儀なくされている。入居者のうち65歳以上が4割を超え、高齢者の見守り体制をどう強化するかが課題となっている。


 避難者と仮設住宅入居者の推移は【グラフ】の通り。避難者数の内訳は2月20日現在、県内が3万9608人、県外は3万9818人。県内避難者が県外避難者よりも少なくなったのは初めて。避難先が把握できない人は20人だった。

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 約1年前の28年2月1日と比べると、県内避難者は1万6841人(29・8%)減、県外避難者は3452人(8・0%)減で、県内避難者の方が減少幅が大きい。県は原発事故の避難指示が一部で解除されたほか、災害公営住宅などの整備が進み、仮設住宅や借り上げ住宅などからの転居が進んだため避難者が減ったとみている。

 ただ、災害救助法は仮設住宅や借り上げ住宅などから災害公営住宅への転居、避難先などでの住宅購入による転居も「避難状態の解消」とみなす。このため、全てが古里に帰還したとは言えない状況にある。

 一方、県内の仮設住宅入居者は、最も多かった24年7月の3万3016人に比べ2万635人(62・5%)減少した。しかし、27年5月末時点で38・7%だった入居者の高齢化率は、1年後の28年5月末に42・9%となり4・2ポイント上昇した。県は今後も仮設住宅入居者の減少は続くが、高齢化率は高まるとみている。


■仮設、4年で半分以下

 県内の仮設住宅は1月31日現在、1万5461戸あり、42・4%に当たる6556戸に1万2381人が入居している。

 仮設住宅の戸数と入居者の推移は【グラフ】の通り。

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 県内では震災と原発事故以降、25市町村に1万6800戸が建設された。入居戸数は25年4月の1万4590戸がピークで、約4年間で半分以下に減った。災害公営住宅などへの転居、避難先での新居建築などが進んだことが背景にあると県はみている。

 県は入居者の減少を受けて仮設住宅の集約を進めており、1月31日現在で建設戸数の8・0%に当たる1339戸を撤去した。

 仮設住宅は最長2年の居住を想定して建設された。原子力災害による避難の長期化に伴い、経年劣化が指摘されており対策が急務となっている。

 
■進む災害公営住宅整備 1月31日 現在進捗率急進61.9%

 原発事故に伴う避難者向けの災害公営住宅は1月31日現在、15市町村に整備予定の4890戸のうち、3028戸が完成し、2518戸が入居している。

 市町村別の整備状況は【図】の通り。整備計画戸数に占める完成戸数の割合を示す進捗(しんちょく)率は61・9%。昨年1月28日現在に比べ、完成戸数は2023戸増え、進捗率は41・3ポイント伸びた。

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 会津若松、白河、田村、本宮、川俣、川内の六市町村で計画戸数全てが完成した。県営と市町村営を合わせて最も完成戸数が多いのは、南相馬市の751戸。次いで郡山市566戸、いわき市494戸、福島市300戸、二本松市237戸、三春町198戸、会津若松市134戸、川俣町120戸などとなっている。県は原発事故の避難者向け災害公営住宅4890戸のうち、入居募集を保留している183戸を除いた4707戸を29年度末までに完成させる計画だ。

 一方、市町村が整備する地震・津波被災者向けの災害公営住宅は、11市町で建設が進む。1月31日現在、整備計画戸数2807戸のうち、2687戸が完成し、進捗率は95・7%に上っている。同日現在、2507戸が入居している。


■ルポ いわき・八幡小路団地 佐藤則夫さん(富岡から避難) ようやく落ち着いたが... 高齢者の健康不安

 被災者はどのような思いを抱え、災害公営住宅で暮らしているのか。不安な点は何か。いわき市平の八幡小路団地を訪問した。

 一号棟には富岡、大熊両町の11世帯が入居している。富岡町から避難している一階の佐藤則夫さん(58)は自治会長を務めている。母伸子さん(80)と二人で暮らしだ。室内は合わせて約40畳の広さで、日当たりの良さが印象的。リビング、和室、寝室、書斎、トイレ、洗面所、風呂があり、収納スペースも多い。段差はなく、高齢者に優しいバリアフリーの造りになっている。壁には十分な厚さがあり、隣室の声や物音はほとんど聞こえない。

 平成27年8月に大玉村の仮設住宅から移り住んだ。「仮設住宅に比べ不自由がない。ようやく落ち着いた毎日が送れている」と満足している。

 しかし、不安が一つある。一号棟には高齢者が多く、住民の健康面が心配だという。交流の機会を設けようと、自治会で催しを企画し参加を呼び掛けるが、顔を出す人は少ない。市内の民間団体やNPO法人が団地内でイベントを開催しても住民の集まりは悪いという。

 敷地内に集会所があるが、ほとんど活用されていないのが現状だ。「入居者は長年の避難生活のストレスで引きこもりがちになっているのではないか」と心配している。

 高齢者が多い団地では、住民同士の助け合いが不可欠だと感じている。今後は自治会がお花見や懇親会などを開き、顔を出すよう訴えていく考えだ。「避難生活は続く。住む人同士で交流を深め、一致団結した楽しい毎日が送れるよう努力したい」と前を向いた。(いわき支社報道部・小宅 祐貴)
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【写真説明】 日当たりの良さが印象的な部屋に暮らす佐藤さんと母伸子さん=いわき市・八幡小路団地

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