東日本大震災

「震災から6年」アーカイブ

  • Check

「避難生活」心のケア緊急課題 増え続ける関連死 避難区域12市町村が大半

 長期にわたる避難生活の末に体調を崩すなどして死亡する「震災(原発事故)関連死」の数は2月27日現在、県内で2129人に上っている。

 県内の震災関連死は平成27年12月に2千人を超え、今年に入ってからも増え続けている。地震や津波による「直接死」の1604人を525人上回り、県内での震災の死者全体の約54%となった。

 市町村別の直接死と関連死の数は【図】の通り。関連死は南相馬市が489人で最も多い。次いで浪江町が400人、富岡町が382人、双葉町が145人などとなっており、原発事故で避難区域が設定された12市町村が大半を占めている。

 復興庁のまとめによると、被災3県の震災関連死は昨年9月30日現在、福島が2086人、宮城922人、岩手460人で、本県が突出して多くなっている。

 関連死は遺族からの申請に基づき、市町村が認定する。認定されれば災害弔慰金が支給される。

■腐食シロアリ 仮設の経年劣化問題

 避難生活が長期化する中、仮設住宅の経年劣化が課題となっている。県の平成28年度一斉点検で、建物が傾く原因になる木製基礎くいの腐食やシロアリ被害がいわき市の5団地、福島市の2団地、二本松市の1団地の計8団地、135棟293戸で見つかった。

 シロアリ被害、腐食を含めた不具合の内訳はシロアリ被害のみが6棟6戸、基礎くいの腐食のみが85棟154戸、シロアリ被害と基礎くいの腐食両方が44棟133戸だった。県はくいを鋼製の部材で補強したり、シロアリ駆除の薬剤を基礎部分に散布したりする対策を講じた。

 この他、木製スロープの腐食などが343棟、耐風ワイヤなどの固定不良が204棟、アンテナやエアコンなどの機器の固定不良が152棟で確認された。

 点検は昨年6月中旬から11月中旬にかけて、取り壊し予定の団地を除く全170団地の3458棟1万5326戸を対象に実施した。

■避難の児童生徒いじめ 対応遅れ目立つ

 原発事故に伴い県外に避難した児童生徒へのいじめが相次いで発覚し、学校や教育委員会の対応の遅れが指摘されている。

 横浜市に自主避難した中学1年の男子生徒は名前に「菌」を付けて呼ばれ、千葉県に避難した女子生徒は小学5年時に「おまえには放射能が付いている」「汚いからこっちに来るな」などと言われるいじめを受けた。山形など隣県でもいじめが確認されている。

 政府は今国会に提出する福島復興再生特別措置法改正案に、原発事故で避難した子どもへのいじめ防止対策を盛り込んだ。特措法に位置付けることで、学校などが取り組むのいじめ防止策を手厚くし、未然防止や早期発見、いじめを受けた子どもの心のケアの充実につなげる。文部科学省によると、震災と原発事故に伴い震災前とは別の学校に通っている本県の幼児・児童生徒は1万2566人(県外7848人、県内4718人)。

■自殺 宮城、岩手の約2倍 長期避難がストレスに
 
 厚生労働省自殺対策推進室によると、震災と原発事故に関連する平成23年から28年までの県内の自殺者は87人で、宮城県の48人、岩手県の41人の2倍前後となっている。

 福島、宮城、岩手の被災3県の震災関連自殺者数の推移は【表】の通り。県内では23年が10人、24年が13人、25年が23人と年々増加した。26年は15人、27年は19人、28年は7人となった。
20170303_2.jpg

 長期避難によるストレスで心身の健康を崩し、自ら命を絶つ県民は後を絶たない。原因・動機は「健康問題」、「家庭問題」、「勤務問題」、「経済・生活問題」など多岐にわたるが、専門家の多くがアルコール依存、うつ病など精神疾患の深刻さを指摘している。

■相馬広域こころのケアセンターなごみセンター長 米倉一磨氏に聞く 見守りで孤独死防止

 仮設住宅などへの訪問を通じて、被災者の心のケアに当たっている「相馬広域こころのケアセンターなごみ」の米倉一磨センター長(43)に孤独死をいかに防ぐか対策を聞いた。

 ―震災から6年を迎えようとする今も、避難者の孤独死に歯止めがかからない。

 「震災前から地域のつながりは希薄になっていた。われわれのような団体が見守っていくしかないのかもしれない。精神疾患を訴えにくい現状もある。『困ったらすぐに精神科などに訴える』という雰囲気をつくりたい。地域の自殺防止のゲートキーパー養成も必要だ」

 ―見守りの訪問を拒否する人もいるという。どう向き合えばいいか。

 「何度も訪問するしかない。玄関や隙間から見える室内に、その人の気持ちを理解するするヒントはあるはず。疾患や障害の有無、生活の状況に着目し、孤立させないよう踏み込んでいくことが大事になる」

 ―昨年、県内の災害公営住宅で孤独死があった。

 「転居を繰り返すほどストレスがたまる。仮設住宅ではボランティアによる支援や生活支援相談員らによる見守りなどの機能が働いていた。一方、災害公営住宅は通常のアパートやマンション同様、近隣住民の顔が見えにくい。見守りの頻度が低くなれば孤独死のリスクは高まる」

 ―男性の孤独死が多いという統計がある。要因は。

 「男性はもともと、女性に比べて人付き合いが希薄な傾向がある。原発事故で仕事を失い、喪失感からアルコール依存症になる人もいる。われわれは南相馬市の災害公営住宅の住民を集め、サロンをつくった。断酒や節酒を目的に『男性のつどい』などの行事を催し、登山やそば打ち体験などを実施してきた。生きる意味を見つけて、ここが自分の居場所だと思えるようなコミュニティーをつくることが重要になる」

 ―これまでの行政の対策で足りない部分は。

 「入居者の全体像が把握できていない災害公営住宅の見守りをどうするかが課題だ。関係機関で情報を共有する必要がある。見守りだけでは限界がある。支援を必要とする人を地域全体で支えるのが理想。精神保健分野の人材不足も課題だ。若者が地元に残る魅力ある地域づくりをしていくべきだ」

■略歴
 よねくら・かずま 南相馬市鹿島区出身。原町高卒業後、茨城県の看護学校で正看護師の資格を取得。南相馬市の精神科「雲雀ケ丘病院」に看護師として勤務。福島医大大学院の社会人枠で精神看護を学び、修士課程を修了。震災後、福島医大心のケアチーム活動に参加した。43歳。

カテゴリー:震災から6年

「震災から6年」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧