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「健康管理」医療機関再開、新設の動き 避難区域解除市町村 入院、救急搬送に課題

 震災、原発事故の発生から丸6年を迎え、避難区域が解除された自治体を中心に医療機関の再開・新設の動きが進んでいる。

 原発事故の避難区域が設定された市町村の主な医療機関の休止・再開・新設の状況は【図】の通り。昨年2月に楢葉町で県立ふたば復興診療所が開所。4月に南相馬市小高区でもんま整形外科医院と半谷医院が再開した。今春の避難区域の解除が予定されている富岡町では昨年10月、町立診療所が診察を始めた。浪江町では27日、町立診療所が開所する。

 ただ、診療所が開設される一方、入院や救急搬送を受け入れる病院の再開は進んでいない。双葉郡では、震災前にあった6病院のうち現在、診療を続けているのは広野町の高野病院のみとなっている。昨年12月に同病院の院長が死去し、常勤医の確保が急がれる状況となった。行政、医療関係者が緊急会議を開いて支援策などを協議し、全国各地の医師がボランティアで診療に当たった。病院側も医師招聘(しょうへい)に努め、4月以降も診療体制が維持できるめどが立った。

 県は平成30年4月を目標に、富岡町に2次救急医療機能を備えた「ふたば医療センター(仮称)」を整備する予定だ。福島医大の協力を得て医師らを確保し、地域医療の中核を担う。新たな浜通りの医療復興計画を策定し、病院再開の新たな支援策を打ち出す考えだ。


 ■福島医大 ふくしま国際医療科学センター 世界水準の治療法 人材育成を推進

 県内の医療復興の拠点として福島医大が整備を進めてきたふくしま国際医療科学センターは昨年12月、全面的に供用を開始した。4つの施設があり、それぞれの特性を生かしながら世界水準の高度な治療法の開発、人材育成を進めている。


 ■ふくしまいのちと未来のメディカルセンター棟
 昨年12月に開所した。施設は7階建てで「みらい棟」とも呼ばれ、ふくしま国際医療科学センターを構成する新施設の中で最も規模が大きい。救急や災害被ばく医療、子どもと女性の病気の治療、県民の健康管理といった役割を担う。

 1階に災害医療・高度救命救急センターがあり、救急搬送を受け入れる。緊急被ばく対応病室や災害時に使う医療資機材の備蓄倉庫も備えている。2階は外来診療スペースとして、これまで福島医大付属病院棟にあった小児科や産科、婦人科などが移った。生殖医療センターを新たに設置した。

 3階の総合周産期母子医療センターは妊産婦や新生児への治療を行う。新生児集中治療室(NICU)、母体胎児集中治療室(MFICU)などの機能を充実した。4階は放射性薬剤を使ってがんを治療するRI(放射性同位元素)病棟や白血病患者に対応する無菌エリアなどを設けた。5階のこども医療センターは診療科をまたいで子どもの診察・治療に当たる。県内初となる小児特定集中治療室(PICU)は平成29年度に本格的に運用を開始する。

 6、7階には県民健康調査の事務局を務める放射線医学県民健康管理センターがある。


 ■災害医学・医療産業棟
 昨年9月に供用を開始した。8階建てで、地下1階から5階にある医療−産業トランスレーショナルリサーチ(TR)センターは県内の医療と産業の連携を支援する。企業に研究データなどを有償で提供するとともに、企業が要望する研究を受託する。がんなどの治療薬、診断薬、検査試薬の開発も進めている。

 6階から8階では教育・人材育成部門として、放射線健康管理や災害時の心の医療などの専門講座が配置された。


 ■先端臨床研究 センター棟
 昨年4月に開所した。地下1階、地上3階建てで分子加速装置のサイクロトロンなど最先端機器を利用し、放射性薬剤の研究や新たな診断・治療法の開発に取り組んでいる。がんや脳疾患などの画像診断装置「PET−MRI」も整備され、早期診断・早期治療の体制も整えている。

 新設された部署「医療研究推進センター」は医薬品や医療機器の実用化を目指す医師らの研究を支援する。福島医大が福島市のJR福島駅前に設置し、理学療法士らを養成する新医療系学部の準備室なども入る。


 ■環境動態 解析センター棟
 昨年4月から本格稼働している。量子科学技術研究開発機構(千葉市)が福島医大と連携し、放射性物質の専門的な調査・研究を行う。2階建てのセンター内に高度な分析機器を導入し、県内の放射性物質の分布や移行の状況を調べる。放射線の影響を減らすためのガイドライン策定なども目指す。

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