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土壌のセシウム深さ可視化 JAEA技術開発 上空から放射線測定

 日本原子力研究開発機構(JAEA)は土壌に含まれている放射性セシウムの深さを可視化する技術を開発した。検出器を搭載した無人ヘリやドローンで上空から放射線を捉える。従来は採取した土壌を分析するか空間放射線量から推計していた。県や国などは東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域などの農地除染、旧避難区域での営農再開の判断に有効な技術として活用の検討に入った。

■営農再開へ活用検討
 測定の仕組みと深度分布マップの例は【図】の通り。検出器はセシウムのガンマ線が土壌粒子などに衝突した際に生じる「散乱線」を捉える。土壌中のセシウムは深い位置にあるほど散乱線が大きくなる特性に着目し、技術化に成功した。
 実証試験は西郷村にある独立行政法人家畜改良センターのほ場で実施した。上空約20メートルからの飛行モニタリングで得たデータと実際に土壌から採取して測った放射性物質濃度を比べた結果に差異はなく、精度を裏付けた。
 これまでは実際に土壌を採取して分析するか、空間放射線量から表層付近の放射性物質濃度を推定する方法が一般的だった。結果判明までの所要時間とデータの正確性が課題になっていた上、土壌中のセシウム分布を把握する技術が確立されていなかった。
 国や県などは除染方法が定まっていない帰還困難区域内にある農地の現状把握と除染手法の検討にJAEAの測定技術を生かす検討に着手する。
 営農再開に向けては土中の放射性物質の低減対策が重要になる。環境省が帰還困難区域の農地で実証したモデル除染では、表土を約5センチ削り取る方法で約5割~7割の線量低減効果が確認されている。より深い位置にあるセシウムを除去できれば、さらに低減できる可能性がある。土壌中のセシウム深度を正確につかむことで除染する範囲や深さの判断がより的確になると期待される。
 県内では原発事故直後、放射性物質が付着した表層と深層の土を入れ替える「反転耕」や「深耕」が実施され、放射性物質が地中に拡散した農地が少なくない。さらに住民避難に伴い耕作が放棄された農地では、イノシシなどの野生動物に掘り起こされた農地も多く、新たな測定技術が効果的と国と県などはみている。
 県関係者は「画期的な測定方法で除染の効率化、コスト削減にも結び付く」と期待を寄せている。

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