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がん放射線治療 人材育成 オハイオ州立大と学術連携 福医大

 福島医大は今年度から米国のオハイオ州立大医学部放射線腫瘍学講座との国際学術交流を開始し、需要が高まっているがんの放射線治療の人材育成を強化する。医大の医師や学生が、がんの放射線治療で世界有数の研究レベルを誇るオハイオ州立大に留学し、最先端の治療法を学ぶ。医大の診療放射線技師らが高精度放射線治療の研修ができる仕組みもつくり、県民のがん治療向上につなげる。

 福島医大は29日までにオハイオ州立大同講座と国際学術交流協定を締結した。協定に基づく主な取り組みは【下記】の通り。
 2018(平成30)年度以降、福島医大の医師らが他大学に優先してオハイオ州立大に留学できる枠を設ける。放射線による効果的ながん治療法を学ぶほか、治療効果と患者の遺伝子の関連などのテーマで3年ほど研究する。帰国後は米国で得た知見を診療に生かすとともに、がん治療でオハイオ州立大との共同研究も検討する。学生や看護師も派遣し、世界水準の治療を学ぶ機会をつくる。
 オハイオ州立大は、体外から放射線でがん細胞だけを狙って治療する「高精度放射線治療」などの最新機器を備えている。機器を扱う診療放射線技師を派遣し、最先端の治療法や機器の使い方などを学ぶ。医大側も米国から医師や学生を受け入れ、低線量被ばく研究などで協力する。
 医大によると、患者の高齢化に伴い、体への負担を軽減できる放射線によるがん治療の需要が高まっている。医大では2014年度に放射線医学講座から治療部門が独立し、放射線腫瘍学講座が新設された。講座新設前の放射線治療患者は年間約10人だったが、現在は100人以上となっている。医大には5人の専門医がいるが、今後の需要増に備え人材育成や研修体制づくりが急務となっている。
 オハイオ州立大との協定は福島医大放射線腫瘍学講座の鈴木義行教授が米国に留学していた際に知り合った医師とのつながりで実現した。がんの放射線治療で世界をリードする米国の大学との交流により、脳腫瘍や頭頸部(けいぶ)がんなど手術が難しい部位の患者負担が少ない治療法確立が期待できる。鈴木教授は「放射線治療の専門人材を医大に集めて育てるための環境整備に国際交流を役立てたい」としている。
 医大はこれまで中国、米国、ベラルーシ、ベトナムの計5大学と交流協定を結んでいるが、学生や教員の交流が中心で、がんの治療・研究などに特化した連携は初めて。医大は今回の交流を海外大学へのネットワーク拡大の足掛かりとする方針で、国際交流担当の関根英治福島医大免疫学講座教授は「双方の大学が恩恵を受ける高い水準の学術交流を展開したい」としている。

【福島医大とオハイオ州立大との 学術交流の主な内容】
・がん放射線治療などを学ぶための若手医師や学生らの留学など人的交流
・がん治療などの共同研究
・診療放射線技師らによる米国での高精度放射線治療機器の研修
・低線量被ばく研究での協力

※オハイオ州立大
 米国のオハイオ州都コロンバスにある州立総合大学。学生数は5万人を超え、全米最大規模とされる。国内外の多くの有力大学と交流しており、留学生の相互派遣も行っている。医学部のがん研究のレベルの高さは世界有数とされ、大学内にはジェームズ総合がんセンターや放射線腫瘍国際トレーニングセンターなどがある。米の国立がん研究所の支援を受けながら専門の医師や診療放射線技師の育成、がん治療や医療被ばくなどの研究を行っている。

カテゴリー:福島第一原発事故

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