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気中工法で底部横から 第一原発、デブリ取り出しで方針

 東京電力福島第一原発1~3号機で溶けて構造物と混じり合ったとみられる燃料(燃料デブリ)の取り出し方針について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)は31日、3基ともデブリ周辺だけを水で浸す「気中工法」で、原子炉格納容器の底部の横側から先行的に始めるべきだとする方針を示した。いわき市で開かれた経済産業省の廃炉・汚染水対策福島評議会で明らかにした。
 デブリは圧力容器を抜け、格納容器底部に比較的多く存在している可能性が高い。底部の横から取り出す場合、格納容器上部からに比べてデブリまでの距離が短く、取り出しのための設備が小規模で済む。建物上部の使用済み核燃料プールに残る燃料の取り出しと並行して行えることや、作業員の被ばく量を軽減できることなども判断材料とした。
 3基とも格納容器底部には一定量の水がたまっている。気中工法では、水位を調節したり水を掛け流したりしながら、遠隔操作でドリルやレーザーを使ってデブリの塊を削り取るなどの作業が想定される。デブリや放射性物質を含む粉じんを外部に飛散させないための対策も課題となる。
 NDFは格納容器全体を水で満たす「冠水工法」も検討していた。しかし、事故で損傷した格納容器から水が漏れないようにする止水技術が確立しておらず、汚染水の管理が難しい上、建屋上部に取り出しのための装置を設置した場合、建物の強度に影響が出かねないと判断した。
 一方で、NDFの山名元(はじむ)理事長は、横と上から取り出す工法を併用する可能性が高い、との認識を示した。また「現時点で冠水工法は難しいが、格納容器上部の止水技術の開発によっては可能性がまったくないわけでない」として、冠水工法についても研究を継続し、将来に備えるべきだと指摘した。
 これを受け、政府、東電は9月をめどに、3基の取り出し方針を決定する。また、廃炉に向けた中長期ロードマップ(工程表)を改定する。工程表の改定は2015(平成27)年6月以来となる。

■取り出し後 原発構内に一時保管
 評議会で山名理事長は、福島第一原発1~3号機から取り出したデブリについて、放射線を遮る特殊な容器に入れて原発構内の建物に一時保管する目標を示した。デブリ取り出し後の具体的な取り扱いについて言及するのは初めて。
 山名理事長は原子力規制庁から取り出し後の保管方法の見通しについて問われ、原子炉建屋から回収したデブリを閉じ込める「収納管」と呼ばれる容器を設計・開発していると明らかにした。その上で、「福島第一原発の構内に安定して保管できる建物を整備し、そこで安全な保管状態を確保するのが当面の目標だ」と語った。一方で、「デブリを回収したら安定的な保管状態にいったん持ち込む必要があるという概念を検討している。建屋の計画とか具体的段階までは至っていない」とも述べた。
 政府と東電の廃炉工程表は2021年に1~3のいずれかの号機のデブリの取り出しを始めるとしているが、一時保管や最終処分など回収後の取り扱いには触れていない。


※燃料デブリ 2011(平成23)年3月に起きた東京電力福島第一原発事故で、原子炉の冷却ができなくなり高温で溶け落ちた核燃料。核燃料が入っていた金属製の燃料被覆管や原子炉格納容器のコンクリート材なども混ざっているとみられている。解析によると、1、2、3号機の燃料デブリの総重量は燃料被覆管やコンクリート材などと合わせて推定880トンに上り、燃料のみの重さの3倍に達するとされる。解析や宇宙線「ミュー粒子」を使った調査で、1、3号機の燃料デブリは大部分が原子炉圧力容器を突き抜けてその下の格納容器下部に落ち、2号機は大部分が圧力容器内にとどまっているとみられている。

カテゴリー:福島第一原発事故

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