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復興牧場新設へ 南相馬市小高 川俣町山木屋 飯舘村 3カ所で乳牛1600頭規模

 県酪農業協同組合は2020年度までに南相馬市小高区、川俣町山木屋地区、飯舘村の3カ所に乳牛計約1600頭規模の復興牧場を新設する方向で調整に入った。搾乳ロボットなど最新技術を導入し、生乳を集積して県内外に出荷する。全国酪農業協同組合連合会(全酪連)と連携し、研究施設も整備し、東京電力福島第一原発事故による避難指示が解除された地域を拠点に県内酪農業の再生を目指す。

 復興牧場の乳牛飼育規模の内訳は南相馬市小高区で約1000頭、川俣町山木屋地区で200頭から300頭、飯舘村で約350頭となる。
 南相馬市小高区には県内外への大量流通に対応できるよう集めた生乳を一時的に貯留し冷却するクーラーステーションを整備する。栄養価が高い餌などを生産して供給するセンター、受精卵に関する研究を進め乳牛や和牛の生産に関わる施設も設ける構想だ。コストを最小限に抑え、酪農業者の経営を安定させる環境を整える。
 昨年稼働させた南相馬市小高区、川俣町山木屋地区にある飼料生産基地などから復興牧場に必要な飼料を供給する。今後さらに飯舘村でも飼料基地を稼働させる方針だ。
 食農学類(仮称)を2019年4月に開設する予定の福島大とも連携し、未来の酪農業を担う人材の育成に取り組む。南相馬市小高区に約40人分の宿泊施設を設け、福島大の学生、全国各地の酪農後継者や研究者を受け入れて県内を拠点に研修、研究してもらう。
 整備事業費は県や各市町村と連携し、国の福島再生加速化交付金を活用する方向で調整する。予算規模は約120億円を想定している。新年度から準備を本格化させ、2019年度に飯舘村の牧場を先行して運営させる方針だ。

■コスト削減や担い手確保へ 大規模経営

 県酪農業協同組合によると、後継者不足などで生乳の生産量は全国で減少しており新たな需要が見込まれ、大規模経営でコスト削減を図っていく。県内でも酪農業者の高齢化が進む一方、酪農を志す若者を受け入れる農場が不足していることから、初期投資がかからない就農環境を整え担い手を確保していく。原乳や牧草など県の放射性物質検査を継続し、安全性を発信することで風評払拭(ふっしょく)につなげる。
 同組合は原発事故で休業中の酪農家を支援するため2015年9月に福島市に復興牧場を完成させた。一層の復興再生につなげるため浜通りを拠点にさらなる牧場の整備が必要と判断した。宗像実組合長(67)は「浜通りを中心に酪農業を取り巻く環境は厳しい。コスト削減などにつながる牧場の大規模経営を成功させたい」と述べた。

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