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すかがわ短編映画祭(10月29日)

2021.10.29 09:16

 スクリーンを張った室内で映像が世界で初公開されたのは、一八九五年のパリだった。リュミエール兄弟が開発した「シネマトグラフ」は、工場から出てくる労働者の姿、駅に入る列車などを映し出した▼時間は、それぞれが一分足らずだが、観客は初めて見る映像に驚愕[きょうがく]した。その後、映画として発展し、百二十六年がたつ。制作当時の政治や世相を映し、ドキュメンタリーや娯楽、アニメなど多彩な分野の作品が世に送り出されてきた。誰にでも印象深い一本はあるだろう▼須賀川市で三十、三十一の両日に「すかがわ国際短編映画祭」が開かれる。一九八九(平成元)年に一回目が催された。昨年はコロナ禍で延期され、今年で三十二回を数える。前回までに国内外の八百五十一作品が上映され、今回は五十四本をそろえた。一時間を超える映画は一つもない▼同じ会場で幾つもの作品を見て、作り手の思いに共感するのが、映画祭の醍醐味[だいごみ]だ。だが、映画を取り巻く環境が変わり、今回限りで幕を閉じる。観賞に訪れた人は、記録が残るだけで約三万七千三百人に達する。閉幕を惜しむ声も聞かれるが、功績や思い出の作品は観客の記憶に刻まれ続ける。