新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の水際対策強化で外国人の新規入国が禁止され、県内で技能実習生を受け入れている企業が人手不足のため受注量を減らしたり、採用計画の見直しを検討するなどの影響が出ている。学校で英語の授業を担当する外国語指導助手(ALT)らの一部も入国できていない。政府が11月に水際対策を大幅に緩和したのを受けて準備を進めていた関係者は対応に苦慮している。
■計画白紙に
会津坂下町にある縫製会社では、技能実習生8人が入国できていない。現在働いている実習生はベトナム人を中心に20人。全従業員約80人のうち、実習生の割合は高く、受注量を減らさざるを得ない状況だ。
入国できない8人は2年近く母国で待機したまま。同社は水際対策の緩和に伴い手続きを始めたが、政府方針が覆り、計画は白紙に戻った。
実習生が増えれば、受注量を増やす予定だった。担当者は「貴重な戦力が入ると期待していたが、感染防止のためには仕方ない」と苦悩をにじませる。
ヨークベニマルの子会社・ライフフーズ(本社・郡山市)は、来年1月にベトナム人実習生約40人を採用する予定だった。実習生は野菜のカットや総菜の調理などを担っている。担当者は「アルバイトや派遣社員らの採用計画を見直す必要があるかもしれない」と話す。
■来日断念も
福島労働局によると、県内の外国人労働者は昨年10月現在で9958人。実習生は4526人で45・5%を占める。
福島市の福島国際交流事業協同組合は実習生の受け入れ窓口となっている。近年は年間100人程度のベトナム人を建設や製造、介護関連の企業に仲介してきた。感染拡大後は今年1月に約20人が入国したのみ。代表理事の佐藤雄亮さん(39)は「面接から3年近くたっても来日できない人もいる」と深刻さを強調する。
来年1~3月に60人程度の入国を見込んでいた。自国で別の仕事を見つけて来日を諦めた人も多い。
企業からは入国時期などの問い合わせが相次ぐ。水際対策の重要性は理解する。佐藤さんは「国内外の感染状況や政府の動向を注視したい」と語る。
■授業穴埋め
ALTや国際交流員も足止めを食らう。県国際課によると、今年度は10カ国の84人が来日する計画だが、3カ国の12人が未入国。このうち6人は11、12両月に入国を予定していた。
郡山市教委はALT3人の来日が未定だ。1人は11月末に南アフリカから入国予定だった。担当者は「子どもがALTの授業を受ける機会が減ってしまう」と頭を悩ませる。
福島市教委でも11月末に南アフリカ、今月初旬に英国からALTが来日するはずだった。他の17人が分担して穴埋めをする状況で、2校を担当する人もいるという。