新型コロナウイルスの変異株オミクロン株の感染が急拡大し、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数が県内市町村で最多となっている猪苗代町。家庭内感染などが相次ぎ、感染収束の見通しが立たないため、町は1月31日、町内の認定こども園と小中学校の臨時休校の延長を決めた。重症化リスクの高い高齢者にも感染が広がる。予防対策に努めながらも感染した男性は「誰もが感染する可能性がある」と警鐘を鳴らす。
■休校延長
猪苗代町では直近1週間(24~30日)の人口10万人当たりの新規感染者数1549・59人で県内市町村で最も多く、県全体の140・85人の約11倍に上る。町内の新規感染者数の推移と年代別内訳は【グラフ】の通り。町民約1万3400人に対し、20人以上の感染者が連日確認されている。
30日までに町内では認定こども園と小学校、高校、高齢者施設で計5つのクラスター(感染者集団)が発生。町は1月末までとしていたこども園と小中学校の臨時休校を2日まで延長した。職員は施設内を消毒するなどして環境を整えているが、複数の教職員が感染しており、再開までの道筋は不透明だ。
休校に伴い共働き世帯を中心に育児、仕事の両立に苦慮する町民もいる。飲食店を営む50代男性は、長女の通うこども園でクラスターが発生し、県発表では園児8人、職員ら2人が感染して休園となった。妻が町内の勤務先から戻るまで連日、長女の世話をしながら店の仕込み作業などに当たっている。
まん延防止等重点措置の適用区域が全県に拡大され、男性は営業時間短縮に応じた。協力金は支給されるが店舗の賃料などの支出はかさむため、休業は選択肢に入らない。「暮らしを守るため、できる限りの努力を続けるしかない」と悩ましい胸の内を語る。
■家庭内感染
町内の30代男性は17日朝に38・3度の発熱があり、医療機関でPCR検査を受けた。翌日、陽性が判明。慌ただしく身支度を済ませて入院した。せきなど風邪症状の人は周囲におらず、感染経路に心当たりはなく、保健所の調査でも分からないままだ。
21日には同居家族7人のうち、5人の陽性が判明した。いずれも感染した男性と妻、両親はワクチンを2回接種済みだった。症状はいずれも無症状か、発熱しても翌日には平熱に戻った。
男性以外の家族は自宅療養を余儀なくされた。家庭内で小まめな換気やドアノブなど共用部分を消毒するなど対策を徹底した。ただ、幼児と児童3人の子どもと暮らす中、食事の場所を分けたり、接触を減らしたりする対策には限界があるとも感じた。
男性は感染力の強いオミクロン株の特性について「ほとんど症状がなく、いつ、誰から感染したか分からなかった」と述べ、誰しもが感染の可能性があると指摘している。
県新型コロナ対策本部はコップやタオルなど共有を避け、料理は個々に盛り付けて食べることなどを家庭内感染の対策として呼び掛けている。