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【聖光学院 夏の甲子園4強の軌跡】(上)チームづくり 守備、走塁、犠打磨く 「谷間世代」に反骨心

2022.08.22 11:25
【九州学院―聖光学院】初の4強進出を決め、スタンドに向かって駆け出す聖光学院ナイン=18日

 第104回全国高校野球選手権大会で、聖光学院は初めて準決勝に進んだ。これまで春夏通じて5度、阻まれてきた「4強への壁」を越えた。1回戦から3回戦まで、甲子園での優勝経験校を撃破し、勢いに乗った。大会期間中も成長を重ね、同校初の快挙を成し遂げた。チームは新たな道筋をつくったが、あくまで目標は「日本一」。さらに上へ勝ち進むための課題を探る。


 「日本一になるには何が必要か」。ナインは常に話し合ってきた。その中心にいたのは赤堀颯主将だ。斎藤智也監督は「偉大なキャプテン」と評する。赤堀主将は中学生の時にテレビの中で聖光学院の戦いぶりを見た。気迫を前面に出し、泥くさく戦う野球が輝いて見えた。入学を決めた。

 赤堀主将が入学する前年の2019年、聖光学院は13年連続で夏の甲子園出場を果たしていた。全国でも「強豪」と呼ばれるチームだった。だが、春夏通じて過去5度挑戦し、その度に「4強への壁」にはね返されてきた。

 赤堀主将は入学直後、同学年の部員に「俺たちの代で日本一を取るんだ」と呼びかけた。思いとは裏腹に周囲からは「力がない」「谷間の世代」と言われた。弱さは受け入れたが、「だから勝てないとは限らない」と反骨心を強くした。まずは計算できるプレーを徹底的に磨いた。守備、走塁、犠打を完璧にこなせるまで、基本に忠実に練習した。

 ただひたすらに自分たちが信じた道を進んできた成果は表れた。昨秋の公式戦は、主戦佐山未来選手の活躍と堅守、隙を逃さない攻撃で勝利を収めてきた。ただ、トーナメントを勝ち抜いたチームの打率は3割に満たなかった。全国で戦うための課題は明らかに打力だった。

 この結果を受け、選手たちはすぐに行動に移す。冬期間はほとんどを打撃練習に充てた。ティーバッティングや、バドミントンのシャトル打ちなど地道な努力を重ねた。筋力アップのため、ウエートトレーニングはもちろん、「食トレ」にも取り組んだ。各選手が夕食だけで白米を1キロ以上かき込んだ。体を一回り大きくした選手たち。夏の聖地に乗り込み、攻守ともに成長した姿を見せた。