福島県郡山市の西部サッカー場で6日に行われた第101回全国高校サッカー選手権県大会決勝は、尚志が学法石川に4-1で勝利し、2年連続13度目の栄冠を手にした。
尚志は12月28日に東京都の国立競技場で開幕する全国大会に出場する。組み合わせ抽選会は11月21日に開かれる。
▽決勝 尚志4-1学法石川
尚志が学法石川に快勝した。尚志は前半3分、DF白石がコーナーキックのこぼれ球に反応し、先制した。29分にはMF吉満が自ら持ち込んでゴールを決めた。後半12分にはFW笹生、39分にFW網代がそれぞれ加点し、試合を決定づけた。学法石川は後半20分、FW阿部がコーナーキックを直接ゴールに入れたが、シュート1本と尚志の堅い守備を崩せなかった。
■吉満、V導く追加点 1ゴール1アシスト 中心選手へ成長
尚志は伝統のパスをつないで攻めるスタイルと堅い守備で全国行きの切符をつかんだ。1ゴール1アシストの活躍で勝利に導いたMF吉満迅(3年)は「チームを落ち着かせるゴールを決めることができた」と笑顔がはじけた。
前半29分、MF岡野楽央(3年)からパスを受けるとドリブルで突破。最後は相手GKをかわして、冷静にゴール左隅へ流し込んだ。後半12分にはFW笹生悠太(2年)のゴールをアシストし「狙い通りのプレーができた」と振り返った。
昨年もメンバー入りしたが、出場機会はなかった。新人戦前にボランチから左サイドハーフにコンバートされ、ドリブルを練習してきた。持ち味である相手の好機の芽を摘む高い守備力に加え、攻撃力が備わりチームの中心へと成長した。仲村浩二監督も「替えの利かない選手」と絶大な信頼を寄せる。
染野唯月(現東京V)を擁して全国4強入りした尚志のサッカーに憧れ、入学した。悲願の全国制覇に向けて「自分たちのサッカーを最後まで貫く」と力強く言い切った。
■「予測当たった」こぼれ球に反応 先制点のDF白石
先制点を挙げた尚志のDF白石蓮(2年)は「ボールがこぼれてくるという予測が当たった」と声を弾ませた。相手GKが前にはじいたこぼれ球にすかさず反応し、利き足とは逆の右足で決めた。今年の公式戦初得点が大舞台でチームを勢いづけるゴールとなった。「持ち味のパスサッカーで全国制覇を必ず成し遂げる」と力強く語った。
■学法石川堅守崩れる 2年連続決勝で涙
準決勝までの4試合で、相手を無失点に抑えていた学法石川の守備が崩れた。尚志は昨年も決勝で敗れた相手。「強かった。自分たちの力が及ばなかった」。攻守でチームをけん引したボランチ阿部吉平が真っ赤に目を腫らし、悔しさをにじませた。
前半は守備を固め、後半に勝負をかける作戦だった。尚志の多彩な攻撃を前に、試合開始早々に失点するなど思うように試合を展開できなかった。後半の勝負どころでも追加点を奪われた。
それでも、前半36分に点取り屋のMF谷唯煌が投入され、徐々に流れを引き寄せた。谷が前線から果敢に素早いプレスをかけた。チームはスイッチが入ったように連動し、相手陣内でボールをキープする時間が増えた。後半20分に阿部がコーナーキックを直接決めて意地を見せた。
2年前に全国大会に出場した学法石川だが、阿部ら3年生の世代は「弱い」と言われ続けてきたという。技術面、精神面を鍛え、決勝の舞台に戻ってきた。阿部は「後輩も弱いところからスタートする。逆境をはねのけ、全国大会に進んでほしい」とエールを送った。
尚志 4-1 学法石川(2-0、2-1)
▽得点者【尚】白石(前3分)吉満(前29分)笹生(後12分)網代(後39分)【学】阿部(後20分)