福島県内で新型コロナウイルス感染の療養中に亡くなった人のうち、県は感染流行の第7波(昨年7~9月)と第8波(同10~12月)の詳細な分析結果を初めて公表した。死者を年代別にみると60歳以上が97%を超えていた。このうち、65歳以上の高齢者で一度もワクチン接種を受けていない人の割合(未接種率)は、高齢者全体の3倍超だった。死者の8割超が基礎疾患を抱えていたことも判明し、県はワクチン接種の促進や感染対策の徹底が重要とみて啓発を強化する。
県が1日、オンラインで開いた県新型コロナ医療調整本部会議で示した。県内で第7波と第8波の期間に、療養中に亡くなった人の年代別内訳では、60歳以上の割合が第7波、第8波いずれも97%を超えていた。第7波は154人が亡くなり、年代別では90歳以上が最も多い52人で33・7%を占めた。平均年齢は82・7歳。新規感染者数に占める死者の割合を示す死亡率は0・13%だった。
第8波では285人が死亡し、年代別で80代が最多の109人で38・3%に上った。平均年齢は84・4歳、死亡率は0・18%だった。
第7波と第8波に当たる昨年7月から12月にかけての死者のうち、65歳以上の高齢者のワクチン接種状況を調べたところ、死者の未接種率は19・9%だった。一方、高齢者全体のワクチン未接種率は6・1%で、県はワクチン接種が重症化リスクを低減する要因になったとみている。
死者のうち8割超が糖尿病や高血圧、心血管疾患などの基礎疾患を抱えていた。死者のうち疾患がある人の割合は第7波で84・3%、第8波で89・7%を占めた。
県は新型コロナ感染の療養中の死者に関し、年代や疾患の影響などを明確にして感染対策につなげるため、県新型コロナ対策アドバイザーを務める福島医大公衆衛生学講座の安村誠司教授と森山信彰講師による分析や助言に基づき実態を調べた。今後も感染状況を踏まえて分析していく方針だ。県新型コロナ対策本部医療対策班長の金成由美子医師は「感染者が増えれば、医療機関や高齢者施設を含めて高齢者の重症化リスクが高まる。県民に改めて基本的な感染対策を促し、死者の抑制につなげたい」としている。