鹿児島県奄美市出身の20歳の女性は、中学1年生の時に初めて本県を訪れた。今は鹿児島大法文学部の2年生。月日が流れても、遠く1500キロ離れた地から福島に思いを寄せてきた▼福島民報社が2015(平成27)年、復興を全国に発信する目的で企画した「ふくしま未来応援団」の一員として来県した。各都道府県から集まった中学生や高校生とすぐに打ち解け、震災と原発事故発生後の取り組みを学んだ。会津方面に向かい、夏野菜を収穫して自然の恵みを堪能すると、すっかり福島が好きになった▼奄美市に戻ってから、地元紙の子ども記者の集まりや防災シンポジウムで仮設住宅の避難者や風評と闘う農家の姿を報告した。こうした経験を胸に、大学で多文化共生を学ぶ。海外と日本をつなぐ将来の夢を目指して今秋、マレーシアに留学する。旅立ちを前に、一度も行けていない浜通りを11日に巡る▼レンタカーで国道6号を北上し、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館や浪江町の震災遺構・請戸小を訪ねる。震災と原発事故が起きた日に被災地の今を目に焼き付ける。同じように各地の応援団が福島の未来を見つめ、エールを送ってくれている。