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大堀、紙一重の逆転勝利 バドミントン女子単8強進出 「自分信じてプレー」

2024.08.03 09:20

【パリで本社報道部副部長・鈴木宏謙】相手のシャトルがアウトになり、65分間の死闘が決着した。第3ゲームは24―22。試合終了と同時に倒れ込む勝者と敗者の姿が8強を懸けた戦いの激しさを物語っていた。1日に行われたパリ五輪バドミントン女子シングルス決勝トーナメント1回戦。「初めて自分を信じてプレーできた」。苦しんで逆転勝ちした福島県会津若松市出身の大堀彩(27)=トナミ運輸、富岡高出身=が語ったのは成長への手応えだった。

 「ここからが本当のオリンピック」と気を引き締めて臨んだ一発勝負。欠点の攻め急ぎが出ないよう心がけたが、肝心のシャトルの行方が定まらない。格下のシンガポール選手に序盤から連続得点され、第1ゲームを11―21で落とした。

 休憩時間。今別府香里コーチ(37)から「いつも通り」と諭された。観客席の父均さん(56)からも同じ声が飛んだ。父は元実業団選手で富岡高の元監督。競技者としての自分を育て、所属するトナミ運輸でも選手とコーチの間柄だ。信頼する2人からの言葉で自分を取り戻した。169センチの身長とリーチを生かした強打に、鍛え抜いたレシーブ。第2ゲームは持ち味を出し、21―14で奪い返した。

 幼少期から注目され富岡一中、富岡高時代から活躍した。ただ、夢見た五輪への道は険しかった。2021(令和3)年に主要大会に派遣されるA代表を外れ、引退も考えた。パリのコートを集大成と位置づける。

 1―1で迎えた第3ゲーム終盤。ジュースが続く紙一重の勝負になった。「選考レースでも同じ展開は何度もあった。それを乗り越えてここにいる」。足が動かず、床を何度はいつくばろうと、勝負を捨てずに立ち上がり続けた。

 3日の準々決勝は2016年リオデジャネイロ五輪覇者カロリナ・マリン(スペイン)に挑む。実績十分の相手にも「自分の100%、120%を出せれば(勝つ)可能性がある」と気後れはない。「可能性は無限大。私ならできるんじゃないか」。迷いのないまなざしで言い切った。