【パリで本社報道部副部長・鈴木宏謙】3日に行われたパリ五輪サッカー女子準々決勝。延長の末に米国に0―1で敗れた「なでしこジャパン」では、出場した福島県関係4選手が存在感を発揮した。けがから復帰し、左サイドで奮闘したDF北川ひかる(27)=INAC神戸=は地元・石川県への思いを明かし、「メダルを持ち帰りたかった」と目を赤くした。
金沢市で渡仏前に行われた親善試合ガーナ戦で負傷し、別メニュー調整が続いた。1次リーグ第3戦のナイジェリア戦で戦列に戻るとフリーキックを決めて復活をアピール。米国戦も先発し、延長前半まで献身的な動きで攻守を支えた。ラストプレーとなった失点場面は「相手に隙を与えた。1本でやられてしまい申し訳ない」と自らを責めた。
前回東京五輪やW杯で活躍したMF遠藤純(24)=エンゼルシティー、白河市出身=の負傷に伴い、アジア最終予選・北朝鮮戦で追加招集されて勝利に貢献。五輪を選手生活で最高の舞台と捉え、能登半島地震に遭った古里を励まそうと誓ってきた。アカデミーに在校していた中学時代には東日本大震災と東京電力福島第1原発事故も経験した。「メダルを持ち帰り、皆さんに喜んでもらいたかった」と涙を拭った。
アカデミーで震災と原発事故を経験したDF守屋都弥(27)=INAC神戸=は右サイドを担い、追加タイムを含めフル出場。豊富な運動量で攻撃に絡み、シュートも放った。「アカデミーから代表に多くの選手が入っている。一緒に戦ってほしい」と在校生にエールを送った。
3バックの一角として前後半を戦ったDF古賀塔子(18)=フェイエノールト=は「アメリカが一枚上だった」と負けを認めた。3試合でピッチに立った大会を通して「体を張って守る部分はこの舞台でも通用した」と手応えも口にした。
1点を追う延長後半に投入された、いわき市出身のFW千葉玲海美(25)=アイントラハト・フランクフルト=は「点を取らないといけない状況でチームに貢献できず悔しい」と悔しがった。味方の浮き球に反応してゴールを狙ったが、枠を捉えられなかった。バックアップメンバーから4試合に途中出場したが、無得点に終わった。「課題をサッカー人生に生かす」と向上を誓った。