パリ・パラリンピックは28日(日本時間29日未明)の開幕まで1週間を切った。本県関係では5競技に6選手が出場する。それぞれの目標を胸に、障害者スポーツの祭典に臨む。「古里にメダルを持ち帰る」。職場や地元から送られる声援も力に、五輪の熱い闘いの余韻が残る「花の都」に向かう。
車いすバスケットボール女子には郡山市生まれで東京都三鷹市職員の石川優衣(27)が初出場する。「初めてのパラリンピック。何も恐れず、全力でプレーしたい」。「心の古里」と愛着を込める福島県への思いを胸に活躍を誓う。
母美樹さん(56)の里帰り出産で郡山市で生まれた。三鷹市で暮らしていた中学1年秋に脊髄炎を発症し、下半身不随となった。車いすで打ち込める目標を探し、早稲田大1年の時に知人から競技を紹介された。実戦経験を積むため、男子チームに入るなど努力を惜しまず、スタミナやスピードを培った。2021(令和3)年にフル代表に初招集され、頭角を現した。
障害の程度が最も重い1・0クラス。得点力の高い味方を生かすため、進路をつくるプレー「シール」や守備を得意とする。パリ切符を懸けて4月に大阪市で開かれた最終予選にも出場し、2008(平成20)年北京大会以来、16年ぶりの自力出場に貢献した。
お盆や年末年始は美樹さんの実家のある郡山市安積町で過ごしてきた。親族と花火大会を見たり、温泉に出かけたりと数々の思い出がある。「自然豊かで人が温かな、心が落ち着く場所」と心を寄せる。郡山で暮らす祖母らの応援を励みとしてきた。
日本は30日の予選リーグ初戦で前回東京大会を制したオランダと戦う。「パリで活躍し、福島に良い報告を届けたい」と大舞台を見据えている。
■県勢5人メダル決意
大会には石川の他、県内在住の4人、県内出身の1人が臨む。各選手のプロフィルと競技日程は【表】の通り。開会式翌日の29日(日本時間30日未明)には先陣を切り、ボッチャの遠藤裕美(38)=県ボッチャ協会=が個人戦、車いすラグビーの橋本勝也(22)=日興アセットマネジメント=が予選リーグのドイツ戦に臨む。
初出場の遠藤は前回、東京パラで団体戦銅メダルの杉村英孝(TOKIOインカラミ)、広瀬隆喜(西尾レントオール)と共に金メダルを狙う。2大会連続出場の橋本は攻守の要「ハイポインター」の若手エースに成長した。前回の銅の悔しさを糧に、金を目指す。
2023、24年の世界選手権銅メダルの陸上女子砲丸投げ、斎藤由希子(31)=SMBC日興証券=が初挑戦のパラでメダルを視野に入れる。女子400メートルの佐々木真菜(26)=東邦銀行=は自己記録を更新すれば表彰台が狙える。
柔道女子48キロ級(全盲)の半谷静香(36)=トヨタループス=は県勢最多の4大会連続の出場。今大会から全盲と弱視に分かれ、同程度の障害の相手と競う。変更を追い風に悲願のメダルに手が届くか。