頭の骨が分厚く頑丈なドーム状の「頭突き恐竜」の名を持つ恐竜、パキケファロサウルス類の世界最古の化石を発見したと、福島県立博物館などの研究グループが17日、発表した。これまで見つかっていた化石よりも古い時代の地層から全身骨格を発掘し、骨の特徴から新種と判断した。パキケファロサウルス類は未解明の部分が多く、起源に迫る鍵になるとしている。研究成果は18日、英科学誌ネイチャーで公開される。
県立博物館の吉田純輝副主任学芸員(33)が17日、会津若松市の県博で発表した。北海道大大学院生時代の2019年、研究仲間と訪れたモンゴル・ゴビ砂漠の白亜紀前期(約1億1千万年前)の地層から偶然見つけた。従来の化石は約8千万~約6600万年前の白亜紀末期のものが多く、今回の化石は少なくとも約1400万年古いという。
体長は1メートル、体重は5.85キロで、脚の骨の分析した結果、少なくとも2歳以上の若い個体と推定した。後頭部の形状、下顎の前歯など従来と異なる特徴から新種と判断した。「ドーム頭の恐竜の起源にして、尊い宝」を意味する「ザヴァケファレ・リンポチェ」と命名した。
ドームは「配偶者をめぐる闘い」などの社会的、性的なアピールに使っていたとされる。ただ、パキケファロサウルス類の化石はこれまで16種の発見にとどまっており研究も進んでいないため「謎の多い恐竜グループ」(吉田副主任学芸員)だという。研究グループは現在、白亜紀よりも古いジュラ紀の地層で探査活動に取り組んでいる。吉田副主任学芸員は「生態や運動能力、進化の過程などの解明したい」と話した。