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感染症対策に理解深めて 福島医学会の学術研究集会シンポ 医療関係者ら考え示す

2025.09.22 10:20
新型コロナウイルスの現状を解説する山藤教授

 福島医学会の学術研究集会シンポジウムは21日、福島医大福島駅前キャンパスで開かれた。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行した後も高齢者を中心に年間3万人超が死亡している現状を踏まえ、感染症対策やワクチン接種の在り方に理解を深めるべきとの考えが示された。

 「科学的知見に基づく今後のコロナワクチン接種戦略~医療者の判断と説明のために~」とのテーマで、感染症やワクチンに知見のある医師が発表した。県医師会、福島医大感染制御学講座が共催し、県内の医療関係者らが聴講した。

 福島医大感染制御学講座の山藤栄一郎主任教授は「新型コロナの現状と評価」と題し講演。2024(令和6)年度の全国の感染による死亡者数は3万5865人に上り、インフルエンザ感染による死亡者の10倍を超えている状況を示した。各種調査データを基に、新型コロナの感染報告数が減少傾向にある中、入院患者数は大きく低下していない点に着目。流行自体は収束しないで、感染しても報告されないケースが増えている可能性を指摘した。

 高齢者が新型コロナに複数回感染した場合、入院や後遺症、心血管系の合併症が増加する可能性があるととの海外の研究などを紹介し「感染を繰り返す影響や、長期的影響を見ていく必要がある」と語った。

 政府の新型インフルエンザ等対策推進会議の議長代理を務める福島医大放射線医学県民健康管理センターの安村誠司センター長は国の感染症対策やワクチンについてのガイドラインなどを解説。大阪大大学院医学系研究科の忽那賢志感染制御学教授はワクチンを接種するかを悩んでいる人に説明できるよう、接種により、感染や重症化を防止できるメリットと、接種による副作用などのデメリットを医師がしっかり理解すべきとの考えを示した。