13日から21日まで東京都の国立競技場で開かれた陸上の世界選手権に出場した混合1600メートルリレーと女子200メートルの井戸アビゲイル風果(24)=東邦銀行=、混合1600メートルリレーと女子400メートルの松本奈菜子(29)=同=は24日、報道陣の取材に応じた。いずれもリレーで日本勢初の8位入賞を果たし、井戸は個人種目で2011年テグ(韓国)大会の福島千里さん以来14年ぶりの準決勝に進む活躍を見せた。大会で見えた世界との差や今後の抱負などを語った。
■混合1600リレー、女子200 井戸「また世界の舞台に」
―会場の雰囲気を振り返って。
「入場した瞬間から大きな歓声や拍手で迎えてもらった。『1人じゃないんだな』と自信につながり、緊張することなく楽しくレースに臨めた」
―世界上位との違いは。
「上のラウンドに行くに連れて、海外の選手はタイムを上げてくる。レース後半にもう一段階ギアを上げてフィニッシュする選手が多い。前半はついて行けていると思うが、後半は必死だった。ペースを上げて走り切る力や筋肉量が目に見えて違った」
―東邦銀行に入って2年目。どんな変化があった。
「世界で戦う選手の姿を見てきた。吉田監督とも縁があり入行した。レベルの高い環境で自分を客観視でき、感覚を高められたからこそ、基礎や日々の自分と向き合う大切さを学んだ」
―新たな目標は。
「(世界大会の標準記録に設定されることが多い)22秒57を切るといろいろ見えてくる。しっかりタイムを上げて、また世界の舞台に立ちたい」
■混合1600リレー、女子400 松本「今までにない声援」
―自身3度目の世界選手権代表入りだった。
「今回は日本開催ということで、たくさんの方に見ていただいた。テレビなどでも応援してもらった。トラックで今までにない声援を浴び、鳥肌が立つような感覚だった。特別な世界選手権になった」
―今回の大会で感じた世界との差は。
「混合1600メートルリレーも個人種目の400メートルも、全ての面でまだ足りないと感じた。スピードとそれを維持する力、筋力。右足の動きにも課題が見つかった」
―世界との差を縮めていくため、どんなことに力を入れていくか。
「海外の力のある選手は基礎的な部分をしっかりした上でパワーなどを高めている。課題の右足の動かし方を修正し、自分の走りを改善した上で基礎を固め、スピードやパワーを付けていく必要がある」
―今後の抱負を伺う。
「全日本実業団対抗や国民スポーツ大会がある。400メートルを51秒前半で走る力を付けたい」
■知事に結果報告
井戸アビゲイル風果と松本奈菜子は24日、福島県庁に内堀雅雄知事を訪ね、陸上の世界選手権東京大会の結果を報告した。
内堀知事は「練習を重ね、世界のトップがそろう場で力を存分に発揮してくれた。勇気と感動を頂いた」と2人をたたえた。同行した東邦銀行の吉田真希子監督は「2人は世界の舞台でベストに近い状態で走ってくれた。今後につながる戦いだった」と話した。
動画のURLはこちら https://youtu.be/16p8fXe3scc