福島県古殿町で廃校になった小学校跡地を活用した木質バイオマス発電所「ふるどの論田エコパワー発電所」は、8月で稼働から1年を迎えた。県内産の木質チップが原料で、林業の活性化や森林の再生にも取り組む。
エクシオグループ(東京都)の完全子会社「ふるどの論田エコパワー」が運営元事業者。発電所は小高い丘上にある旧論田小のグラウンドに建設され、年間で一般家庭4千世帯分に相当する電力を起こす。国内では初めて導入されたというドイツ製のガス化炉2基と、ガスエンジン発電機を備える。
ガス化とは木質チップを加熱して生まれるバイオガスを精製し、発電機を回して発電する。燃料の木質チップは年間2万~2万4千トンほど使用するという。基本的に燃料は全て県内産のチップを調達しており、運転員5人のうち4人が地元雇用だ。
持続可能な取り組みにも注力している。発電事業の副産物として、施設を温めるための温水から排熱が出る。発電所では排熱を利用してコーヒー豆を栽培するデモンストレーションを行っている。今後は排熱を他の分野でも活用できないか、地域や町などと協力しながら可能性を探っていくという。
植林にも取り組み、町が伐採した山林に試験的にスギ科の「コウヨウザン」約3千本を植えた。ふるどの論田エコパワーの菊地巌社長は「地域とも交流を深め、今後も持続可能な取り組みを続けたい」と話した。
(県南版)