日本図案館、船川翔司、本山ゆかり の3組が階段型ギャラリーSCG(Stairscase Gallery)にて展示。
「貝をぬける」メインビジュアル/Graphic Design:大田高充
この度 BnA Alter Museumでは、日本図案館、船川翔司、本山ゆかり の3組による展覧会『貝をぬける』を階段型ギャラリーSCGにて開催いたします。
ものを見る、と一言で言う時、この行為は具体的にどのようなものでしょうか。
普段私たちは、展覧会という場で作品と言われるものを鑑賞する際、何か対象となるものを見つめ眺めながら、考えを巡らせてはある瞬間に直観したりしなかったりすることでしょう。
さらに詳細に言えば、対象を見つめる、の中に含まれることとは、対象が他から区別され自律していると認識される瞬間、ものの肌理の連続を通して輪郭(としての全体)を感知しているということです。
また、ある瞬間の直観とは、作品におけるモノやコトを通して、私や私たちを含めた宇宙における既存の場所や関係を各人が置き換えうる契機とも言えるでしょう。
本展における『貝』とは、その肌理と輪郭の関係を一望する記号的イメージであると同時に、作品にある多様な経験へと接続する場所が殻という境界を持って内と外に分け隔てられていることを指しています。
また本展会場である階段型ギャラリーSCGとは、10階まである非常階段に沿ってぐるぐると螺旋状に上り下りしながら鑑賞する、階層とガラスによって隔てられた展示空間となっています。
この会場において鑑賞者は、作品固有の生をもって経験される『貝』がフラクタル状に増殖しながら折り重なることで、その内と外を通り抜けていくのです。
改めまして本展では、このように定義される『貝』たちが現実に対するフィクションとしてのメディウム、精神性、歴史性を伴い鑑賞者自身の境界を曖昧にし、再編成していくでしょう。
明治期の図案革新文化から生まれた木版画の図案集を中心に、江戸期から昭和初期の"図案にまつわる物"を収集・展示する日本図案館、特定の環境や状況から得る経験に基づき、感得する主体を拡張する個別具体的な事象について制作を行う船川翔司、絵画をつくる/鑑賞する際に起きる様々な事象を解体し、それぞれの要素を注視するための仕組みを作る本山ゆかり、以上3組による作品展示が展開されます。
1881(明治14)年に構想され実現しえなかった高橋由一の『螺旋展画閣』のように、歴史的な多義性を現在と照らし合わせながら、こうありえた/ありえるかもしれない時間をお楽しみいただければ幸いです。
[ 文: 筒井一隆]
展覧会概要
貝をぬける Through Shells
参加作家:日本図案館、船川翔司、本山ゆかり
会期:2025年10月18日(土)- 2026年5月10日(日) 11:00 - 20:00
入場料:一般1000円/大学院生・大学生500円/高校生以下無料(音声ガイド付き)
会期中無休
URL:https://bnaaltermuseum.com/exhibition/through-shells/
企画:筒井一隆
映像制作:北村佳子
制作協力:村上美樹
主催:BnA Alter Museum
参加作家プロフィール
日本図案館所蔵品より平瀬與一郎「貝千種 二」/木版画/大正4年(1915年)/芸艸堂
日本図案館 Zuan Museum
大阪市浪速区に位置する歴史資料館。明治期の図案革新文化から生まれた木版画の図案集を中心に、江戸期から昭和初期の "図案にまつわる物" を展示し、日本で発展した様々な文化において表現された美的感覚、抽象感覚、色彩感覚等を共有している。
https://www.instagram.com/zuanmuseum/
船川翔司「Weather twin」/インスタレーション/2023年
船川翔司 Shoji Funakawa
1987年、鹿児島県生まれ。テクノロジーを駆使し、気象、光、音といった自然現象と人間の知覚が交差する領域を探求するアーティスト。その制作は、特定の環境から得られる「個別具体的な経験」を核とし、テクノロジーを媒介に「人工」と「自然」の境界を溶融させる。それは、鑑賞者の感覚そのものを拡張するような作品体験を生み出す。作品空間において主体と客体の区分は無効化され、意味や価値を問う以前の、世界のありのままの姿が立ち現れる。船川の作品とは、世界の潜在的な可能性を肯定する、透徹したリアリズムの探求である。
「益田風 (イチイの木の少し上方では別なる時の風が流れている)」(南飛騨アートディスカバリー、岐阜、2024年)「AWHOB ある天気と此性の観察局」(北アルプス国際芸術祭、長野、2024年) 「 Kyoto Inter Change 船川翔司 個展 」(Kyoto Inter Change、京都、2024年)「吹けば風」(豊田市美術館、愛知、2023年) 「Hey, _」個展(KAVC, 神戸、2022年)
http://www.sjfnkw.com
本山ゆかり「Ghost in the Cloth(5枚の羽根)」/布、綿、糸/2024年
本山ゆかり Yukari Motoyama
1992年愛知県生まれ。2015年愛知県立芸術大学美術学部油画専攻卒業、2017年京都市立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了。絵画をつくる/鑑賞する際に起きる様々な事象を解体し、それぞれの要素を注視するための仕組みを作り、作品制作をしている。主な個展に「Call Me by the Name」(Yutaka Kikutake Gallery、東京、2024)「コインはふたつあるから鳴る」(文化フォーラム春日井、愛知、2021)「称号のはなし」(FINCH ARTS、京都、2020)など。展覧会に「VOCA2022 」(上野の森美術館、東京、2022)、「この現実のむこうに Here and beyond」(国際芸術センター青森、2017)、「裏声で歌へ」(小山市立車屋美術館、栃木、2017)などがある。
https://motoyamayukari.net/
BnA Alter Museumとは
BnA Alter Museum - ART ROOMS
BnA Alter Museumは、気鋭のアーティストが制作する泊まれる空間型アート作品31部屋に加え、計30メートルの縦型ギャラリースペースや、ミュージアムショップ、バー&ラウンジ等が併設される新しい形のアートスペースです。また、パブリックスペースを展示やイベントに開放するなど、国境を超えたアーティスト、アートファンのコミュニ ティーが集う場となることを目指します。
住所:京都府京都市下京区天満町267-1
アクセス:阪急河原町駅より徒歩6分/京阪祇園四条駅より徒歩7分/河原町松原バス停から徒歩3分
Tel: 075-748-1278
WEB: https://bnaaltermuseum.com/
※宿泊予約は、上記WEBページ下部の[宿泊予約] もしくは[Book Now]
Instagram: https://www.instagram.com/bnaaltermuseum/
X: https://x.com/BnaAlter
Facebook: https://www.facebook.com/BnAAlterMuseum
階段型ギャラリーSCGSCG (Stairscase Gallery)はアートルームと同様に、施設としてBnAの思想を表現するためのもう一つのメインプロジェクト。
施設においては常設展であるアートルームに対してSCGは企画展という位置付けにあり、宿泊ゲストだけでなく全ての人々に開かれている。 計30メートル弱の縦型ギャラリースペースで、施設内階段を上りながら縦に広い五つの空間を鑑賞するという世界にも類を見ない展示空間。 既存のカテゴリーを超え、未来を開拓する”今”を捉えること。
ユニークな隔離空間だからこそ実現する奇想天外なアイディア。BnAがやるギャラリーだからこそ、表現者にも鑑賞者にも新たな挑戦の場を。
Yumi Nakata, TO SELF BUILD, 2019, SCG, BnA Alter Museum (photo:Tomooki Kengaku)
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