「本当に効果はあるのか」。文部科学省が校庭や園庭の放射線量の低減に向け、表土と下層を入れ替える手法を打ち出した7日、福島県内の関係自治体や保護者の間に疑問が広がった。すでに表土を除去し、校庭に仮置きしている学校は、対処法が示されず困惑する。関係者は文科省の検証結果には注視しつつも、突然示された方針への対応に苦慮している。
すでに校庭や園庭の表土を除去した自治体の反応は慎重だ。
薫小など67小中学校・幼稚園・保育所の表土を除去している郡山市教委は「8日の文科省の実地検証で数値が下がるならば実施する価値はあると思う」としながらも「市として選択するかどうかは何とも言えない」と推移を見極める考えを示す。
「この手法を導入する基準はあるのか。すでに表土を剥いだ学校はどうするべきなのか」。3小学校・幼稚園で表土除去を行った伊達市の湯田健一教育長は当惑する。仁志田昇司市長も「上下置換により地中に(放射性物質が)残るのは確かだ」と疑問を投げかけ、「表土を除去した学校の対応も考えるべき」と説く。
除去した表土を校庭に仮置きしている同市の小国小の柳沼雅俊校長は「まだ表土を除去していない学校にとっては今後の対応を判断する材料になるかもしれないが、本校のようにすでに除去した土はどうするのか」と今後の動向を注視する。
福島市教委は国から表土の処理基準が提示され次第、放射線量の数値が高い校庭や園庭から順次、除去する方針を固めていた。瀬戸孝則市長は「処理土の搬出先が確保できない状況を踏まえた実地検証」ととらえ、「安全性を確保できるのであれば市として早急に対応する」との考えを示す。
ただ、同市教委の関係者は、学校によっては上下層の土質が異なり、入れ替えた場合に水はけが悪くなるなどの結果が想定されるとも指摘。「全ての学校で有効とは限らず、別の対処法も検討する必要があるのではないか」とした。
また、同市中心部の小学校の校長は「何らかの方法で早く放射線量が下がればいいとは思っているが、今回示された方法がどの程度効果があるのか分からない。今後の動向を見守りたい」と話した。
(カテゴリー:福島第一原発事故)