東日本大震災アーカイブ

「地域復興に力を」 福島大で新入生を迎える会

学生歌を歌う新入生

 福島大は9日、東日本大震災で約1カ月延期していた入学式を「新入生を迎える会」として福島市の同大で開いた。

 大学院も合わせ新入生1202人のほぼ全員が式に出席した。冒頭、震災の犠牲者に黙とうをささげた。入戸野修学長は「果敢な行動力が危機を乗り越える。柔軟な思考力と積極性を身に付け地域の復興に取り組んでもらいたい」と語った。経済経営学類3年の千葉玲央さんが「出会いを大切に多くの友人をつくってほしい」と歓迎のあいさつを述べた。全員で学生歌も歌った。

 新入生には放射性物質から身を守るためのマニュアルも配られた。迎える会終了後の全体ガイダンスで、高橋隆行副学長らがマニュアルを基に学内の放射線量の状況などを説明した。

 共生システム理工学類に入った猪苗代町出身の本多康朗さん(18)=会津高卒=は「入学が待ち遠しかった。バスケットボール部で活躍したい。将来は中学か高校の教員として地元に役立ちたい」と意欲を語った。

 外国人留学生を除く1年次入学者993人のうち、県内出身者は463人で全体の46.6%だった。

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 福島大の12学生団体は9日までに、入戸野学長に安全安心な学生生活の確保のための要望書を提出した。

 要望書は12日からの授業開始を決めた経緯や大学側の放射性物質への対策について説明を求めた。併せて今後の対策について学生団体と協議するよう要望している。

 同大は「要望書を真剣に受け止め、学生側にしっかりと回答したい」としている。