福島県が東日本大震災を受け新設した中小企業向けの「震災対策特別資金」の利用実績は、制度開始の3月25日から4月28日までに430件、70億7760万円に上った。県が9日、発表した。中通りで利用が多く、企業の動きが活発化してきたとみられる。一方、浜通りの利用は低調で、甚大な津波被害により企業が事業を再開する段階に至らない現状が浮き彫りとなった。
資金の利用は4月中旬以降に急増した。4月25日からの4日間では205件、35億9138万円となった。
利用実績のうち、件数別では県中が213件(49.5%)、県北が146件(34.0%)だった。一方、相双は15件(3.5%)、いわきは31件(7.2%)と低かった。業種別では建設業と小売業がいずれも67件(15.6%)、サービス業63件(14.7%)、卸売業54件(12.6%)、飲食店45件(10.5%)など。
県は中小企業の支援を強化するため、企業が金融機関に支払う利子を負担し、実質無利子とする方針。17日開会予定の5月臨時県議会に提案される一般会計補正予算案に関連予算を計上する。
さらに県、経済産業省は福島第一原発事故による警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域に事業所があり、移転を余儀なくされた事業者が対象の新たな融資制度を創設する。無利子で最大20年間貸し付ける。
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