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放射線との戦い(4) 被ばく量知りたい 積算線量計の配布広がる

川俣町の児童生徒に配布されたガラスバッジは首に下げられるようになっている

    そもそも自分はどのくらい被ばくしているのか。
 県民の多くが抱く疑問だ。被ばくには体に付着したり地表に落下したりした放射性物質が発する放射線を体外から浴びる外部被ばくと、呼吸や汚染された食品を通して体内に取り込まれた放射性物質による内部被ばくがある。
 日々発表される各地の放射線の情報は外部被ばくの目安となる数字だ。外部被ばくによる健康への影響を考えるには、総量としてどれだけ放射線を浴びたかという積算線量の把握が重要になる。文部科学省は一時間当たりの線量から、屋内外で過ごす時間などを考慮した計算式に当てはめて推計した数字を基に積算線量地図を公表している。
 しかし住民の生活形態は十人十色だ。各人の積算線量を正確に記録するには、医療従事者や放射線の研究者のようにそれぞれ線量計を携行するしかない。県内では放射線の影響を受けやすいとされる子どもに線量計を持たせるべきという意見が高まり、川俣町、伊達市、福島市などで配布されることになった。県は費用を負担する。
 近畿大の支援を受ける川俣町は6月末、県内では最も早く中学生以下の子どもら約2000人に「ガラスバッジ」タイプの積算線量計を配った。同町の主婦佐藤由美子さん(38)の6歳の双子の長男、長女も幼稚園からガラスバッジを渡された。佐藤さんは「数字が表示されないので心もとないが、少しは安心感が得られる」と感じた。
 ガラスバッジは、はめ込んだ特殊なガラスに放射線が当たると紫外線によって発光する性質を利用して線量を測る。屋内など線量が低い場所で過ごす時間が長いと考えられる子どもたちは、1カ月程度では意味のあるデータが得られない可能性がある。このため川俣町は3カ月ごとに計測する。
 近畿大原子力研究所の伊藤哲夫所長は「ガラスバッジを一般の人がこれだけの規模で着けるのは多分、世界で初めて。本来なら国がやるべきこと」と指摘した。
       一般のニーズに対応する動きも出ている。
 コープふくしまが組合員を対象にガラスバッジによる測定サービスをPRしたところ注文はすぐに1000件を超えた。8月1日から1カ月区切りで測定する。
 福島市は中学生以下の子ども3万4000人に配布する予定だが、計測は9月から3カ月の予定。行政の対応を待ちきれずに注文した家庭も多いとみられる。
 ガラスバッジの計測、分析は東京の専門の会社が行う。県内の放射線量が高いといっても、積算線量として記録するには低いレベルのため、通常より一桁切り下げた詳しい数字を示すことも検討している。担当者は「普段、人間が浴びる自然放射線を差し引くと、数字は低いレベルにとどまるのではないか」と見ている。本県以外からも問い合わせがあるが、携行の必要があるとは考えていない。

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