脱サラして農業法人あおば農縁(のうえん)を立ち上げた南相馬市原町区の菅頭秀行さん(32)は、原発事故を受けて畑1ヘクタールで油をとるヒマワリを有機栽培している。3日は友人5人が訪れ、順調な生育具合を確かめた。お盆過ぎから9月初めにかけて種を収穫する。
菅頭さんは「有機の農地を増やして昔の農業に戻したい」と昨年脱サラ。米、多品種の野菜を有機栽培していたが、原発事故の土壌汚染で農作業がストップした。放射性セシウムを吸着しない作物を考え、「搾った油に放射線物質が残留しにくく、除染の効果もある」とヒマワリの栽培を決めた。
4月に同区赤坂、大木戸の畑に「サンフラワー」をまいた。借りた荒れ地を1年かかって耕した畑で、無農薬・無肥料栽培した。
菅頭さんは栃木県大田原市の有機農家の作業を手伝い、月に何度か畑の見回りに訪れている。小高区から愛媛県に避難しミカン、水稲、養鶏の複合経営に取り組んでいる友人の渡部寛志さん(32)、原町区のボランティア仲間の古内淳子さん、横山筆子さんらが訪れ、約4万本のヒマワリを観賞した。
菅頭さんは「ヒマワリ油はバイオ燃料にもなる。環境復興として、生産者、消費者をつないで、食の安全を提供するネットワークを作りたい」と話している。
(カテゴリー:福島第一原発事故)