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今を生きる 「元気」発信の店に

店の再建と地域の復興に汗を流す金成さん夫妻(中央と右)

 東日本大震災の津波で甚大な被害を受け、がれきや家屋の撤去作業が続くいわき市平豊間地区にあるセブン-イレブンいわき豊間店は、店の骨組みがむき出しになった状態で営業を続けている。店長の金成伸一さん(52)と妻のゆかりさん(48)は来店者が訪れるたびに笑みを浮かべる。震災発生から5カ月以上。被災した店の建て直しに取り組む傍ら、地域復興に向け「元気の発信源」になろうと汗を流している。

■セブン-イレブンいわき豊間店金成さん夫妻
 津波が直撃した店舗は骨組みを残すだけ。店舗には逆さまになった自動車が流れ込み、商品は辺り一面に散乱していた。伸一さんはあまりの惨状に言葉を失い、立ち尽くすだけだった。
 父親が昭和28年から営んできた小売店を引き継いだ後、平成7年に豊間店をオープンした。「これまで地域にお世話になった。ここで店を閉めるわけにはいかない」。震災後、苦悩の日々が続いたが、心を奮い立たせ、再建の道を歩んだ。
 店内にあった冷蔵庫は津波で流されたため、毎朝、市内泉町の共配センターに移動販売車で商品の仕入れに通った。「助かるよ」「頑張ってね」。買い物客や通行人から寄せられる感謝や激励の言葉がうれしかった。震災前に比べると忙しさが減った分、来店者1人1人との会話をする機会が増えた。だが、多くの人から悲しい話を聞かされた。自分たちよりも苦しんでいる人がたくさんいることを知った。
 人の心も復興したいと「絆」再生プロジェクトと銘打った、にぎわい創出イベントを企画した。協力者を募りながら店舗近くのスペースを利用して、復興ライブ、フリーマーケットなどのイベントを開催した。
 7月31日には犠牲者を悼むため、よさこい追悼演舞を繰り広げた。家の土台しか残らないかつての住宅街で子どもたちが躍動した。取り巻く住民の笑顔を目にして地域を元気にしたいという思いを一層強くした。
 現在も移動販売車を利用し、壊れた店舗での営業が続いている。先の見えない不安を感じる時もあるが、今後、店舗内にプレハブ小屋をはめ込む構想を思い描いている。
 「震災を経験して買い物もインフラの1つだと痛感した。少しでも早く元通りの店に戻して地域の復興を後押ししたい」。日焼けした顔から白い歯をのぞかせた。

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